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2014年12月28日

下請労働者に慰労金支給
民放労連の年末一時金闘争

前進する処遇改善運動

 民間放送局の労組でつくる民放労連では、局構内で働く下請労働者の処遇改善が前進し、定着しつつある。発注元(派遣先)の労組として自社に要求する取り組み。2014年の年末一時金闘争では、「『構内で働く全ての労働者』への祝金1万円」を勝ち取った中国地方の組合をはじめ、18組合が食費補助、商品券の支給などを実現した。

▼全労働者に支給

 2014年の年末一時金闘争では、「構内下請」の労働者に「慰労金5万円」を支給するよう60組合が統一して放送局各社に要求。18組合(12月16日時点)が、現金、商品券の支給、従業員食堂での食費補助などの回答を引き出した。そのうち、現金での支給は6組合に上る。

 関東地方のある組合は、「全構内労働者に(コンビニやファミレスで使える)QUOカード5千円分支給」を実現。番組制作に関わる労働者だけでなく、受付や清掃、食堂など構内で働く全ての労働者に支給される。

 近畿地方のある組合は、12月17日~23日の期間、従業員食堂の無料開放(全額食費補助)を実現した。派遣社員や、グループ会社、関連会社の従業員など、構内で働く者を広く対象としたものだ。

▼統一要求で前進

 放送局では、下請業者の労働者や派遣労働者などさまざまな会社の従業員が多く働いている。民放労連は、「構内労働者」の処遇改善を方針に掲げている。

 取り組みの転機は、2012年の春闘で、「1時間あたり100円の契約単価アップ」などを組織内の統一要求としたことだ。民放労連は同年、「構内労働者組織化プロジェクト」を立ち上げ、労働相談などの取り組みを強化した。組織拡大・労働相談と、処遇改善を両輪で進め、加盟労組でも機運が一層高まったという。

 この年の春闘で、4組合が現金での慰労金支給を勝ち取った。

▼技能継承が課題

 要求の背景には、下請の制作プロダクションの厳しい労働実態がある。

 番組制作の現場では、カメラや音声、照明など技術者を中心に、下請プロダクションなどへの置き換えが進んでいる。リーマンショック後、番組制作費の低下で外注化に拍車がかかり、現在ではディレクターを除くスタッフ全員が下請労働者の現場も珍しくないという。

 下請プロダクションは、深夜・早朝の勤務など就労環境は厳しい。若者の離職が絶えず、人材確保は難航している。そのため、技能継承が制作現場の課題となっている。 

▼産業別最賃新設めざす

 年末一時金闘争に先立って、2014年の春闘では、9組合が現金での慰労金支給を実現していた。初めて統一要求で臨んだ2012年から倍増の勢いだ。民放労連本部の安部昌男副委員長は、「下請労働者がいなければ番組制作ができないことは会社側も分かっている。技能が途絶えれば、番組の質の劣化は避けられない。だから会社側も要求を無視できないのだろう」と語る。

 さらに安部副委員長はこう強調する。「だが、これはほんの入口に過ぎない。低く抑えられている構内労働者の賃金を上げなければならない」

 民放労連は賃金底上げに重点を置き、2003年から「時給1200円以上、日額1万円以上、月額25万円以上」の企業内最低賃金の要求を続けている。今後、企業内最低賃金の協約締結をめざす取り組みを一層強めていく構えだ。安部副委員長は「まず自社で協約を締結し、次に下請業者に広げたい。その先には産業別最賃の新設をめざす」と展望を語る。

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