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2014年12月22日

神奈川で「電機」残す
産別最賃の改定問題

審議のあり方、各地で模索

 業種ごとに賃金の下限を定める特定最低賃金(産別最賃)の改定審議がヤマを超えた。東京は全ての業種が失効したものの、神奈川は「電機」「塗料」の2業種については金額改定を行い、辛うじて残すことができた。一方、地域別最賃の上昇で、特定最賃の存続問題は全国に広がる。「関係する労使」の意向を尊重する審議のあり方を模索する動きが活発化している。

▼繊細な仕組み

 特定最賃は法定最賃の一つ。労働協約や労組の意向を基に、各地の最低賃金審議会で新設・改定される。7月頃に改定の申し出がなされ、必要性の有無や額を公益、労働、使用者の三者で構成する最賃審の機関が判断する。慣例上全会一致の合意が必要。使用者側委員が1人でも反対すれば、改定できなくなるという繊細な仕組みだ。

 近年、10月発効の新年度の地域別最賃を下回る特定最賃について、使用者側が改定を拒否し、失効する事例が相次いでいる。下回った初年度は「イエローカード(警告)」として改定を認めるが、次年度も下回れば「レッドカード(退場)」で拒否するという基準で態度を決めているとみられる。

▼「関係労使」の参画を

 神奈川では今年、7業種全てで改定の申し出が行われたが、14年度まで効力を維持していた「鉄鋼」が消え、「塗料」「電機」が残った。「電機」が地域別最賃を下回ったのは3年連続。

 今年は審議のあり方に大きな変化があった。労働側の提案が一部実り、業種ごとに「特別小委員会」が設けられ、関係労使の代表が出席することになった。経営者協会など「特定最賃の廃止」を主張する使用者側委員を介するのではなく、関係労使が顔を突き合わせて意見を述べ合う審議が初めて実現したのである。

 さらに、一歩先を行くのが大阪だ。今年、地賃を下回って2年目の「非鉄・電線」、同初年度の「電機」について、関係労使で構成される「専門部会」で必要性を審議するよう労働側が求め、受け入れられた。専門部会は本来、改定金額を審議する機関。専門部会での必要性審議は例がないという。結果、2業種とも改定され存続した。

 一方、東京は全て効力を失った。ただ、「必要性審議のあり方について、検討する場を速やかに設けることが適当」の一文を合意文書に挿し込み、翌年に希望を託した。来年5月までに検討が行われる見通しだ。
 
▼全国の課題に

 今年度は、「逆転現象」が地方でも散見される。静岡、愛知、兵庫、山口、佐賀で一部の業種に一時的な逆転現象が起きている。兵庫は「繊維工業」が下回り、小委員会で検討した結果、他業種より大幅に遅れて改定に漕ぎ着けた。

 15年度の地域別最賃の引き上げ額は、このままいけば14年度(平均16円)を上回ることが見込まれる。特定最賃の存続問題は今や都市部を中心に全国の課題となりつつある。

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