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2014年12月22日

「年相応の暮らしがしたい」
神奈川最賃裁判

非正規の26歳女性が意見陳述

 「現行の最低賃金は生活保護水準を下回り違法」と訴えている神奈川最賃裁判(神奈川労連傘下の組合員ら134人が原告)の口頭弁論が12月15日、横浜地裁で開かれた。原告の一人、時給910円で働く非正規労働者の女性(26)が「経済的な心配から解放されたい。最賃を1000円とする判決を」と訴えた。

▼先のことは考えられない

 女性は高校卒業後、大学に進学したが、両親に学費を出してもらうことに引け目を感じたため、20歳で中退したという。居酒屋のアルバイトを経て、2011年から老人ホームに勤務している。パートの調理補助として、毎食100人分以上の給食を準備する日々。月給は手取りで約13万円だ。

 大きな悩みは交際費の捻出。友人からの誘いを断ることも少なくない。「1回の飲み会に2500円ほどかかってしまう。『金銭的に厳しい』と断わらざるを得ないことに、情けない気持ちになる」と心境を語った。

 正社員の友人とショッピングに行くと、金銭感覚の違いを感じ、惨めな思いをすると話す。「見る物の値段が違う。私にとって高い物も、友人にとっては普通だったりする。私も年相応の物を身につけたいが、値が張る物は買えない」

 それでも、交際相手や友人とのつながりが支えとなっている。「それがなければ、『ただ働いて食べて寝て過ごすだけ』になってしまう。そんな生活は送りたくない」

 陳述の終盤、涙をこらえる震え声で、「一生懸命働いても、正社員のような生活はできないと感じ、悲しくなる。結婚してもおかしくない年齢だけど、今の生活が精一杯で先のことは考えられない」と訴えた。

証人審問の採否が焦点神奈川最賃裁判

 低過ぎる最賃は違法と訴える神奈川最賃裁判では今後、原告側の証人尋問を引き続き行うかどうかが焦点となる。原告側は11月、専門家の証人尋問を申請。4月22日の裁判で結論が示される見込みだ。

 これまでの審理では原告が自らの厳しい生活実態を陳述してきた。証人尋問は、生存権や社会政策などの知見から「最賃の決定過程で労働者の生計費を重視すべき」などの主張を強めることが狙い。そのため、小越洋之助国学院大名誉教授、金澤誠一佛教大教授(社会保障)、遠藤美奈早稲田大教授(憲法学)、神奈川県労連の水谷正人副議長の4人を申請している。

 田渕大輔弁護士は「社会的に注目されている問題で、裁判所はいろいろな角度から考える必要がある。1人でも多く採用してもらいたい」と語る。

 国側は「全て却下すべき」と主張している。

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