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違法な徴収・滞納整理は中止を
京商連が京都地方税機構に請願書

納税者の実情に即した「納税緩和措置」求める

  京都商工団体連合会(京商連)は3月29日、京都地方税機構問題で広域連合長の山田啓二氏あてに以下の「請願書」を提出しました。

収率向上のみを目的とした違法な徴収・滞納整理は中止し、
納税者の実情に即した「納税緩和措置」の活用を求める請願書


【請願の趣旨】

 京都地方税機構が府下25市町村から滞納案件の移管を受け、2010年4月1日から本格的に滞納事案の税金等の徴収及び滞納整理を行なおうとしています。市町村から京都地方税機構に移管される滞納案件は21万件にも及ぶと聞きます。既に各地の民主商工会には「京都地方税機構に移管するとの通知がきたがどういうことか」などの問合せも相次いでいます。
 日本国憲法第25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定しています。また大蔵財務協会が発行する『国税通則法精解』では徴収確保のため納税義務者の生活保障をそこなう結果を招くことは、『それ自体自己矛盾』『無益にして有害な執行』だと憲法の立場から納税者保護のあり方を示しています。
 私たち民主商工会・京都府商工団体連合会は、納税者の権利を守る立場から、日本国憲法第16条及び請願法にもとづき京都地方税機構に対して請願を行います。誠実に文書で回答することを求めます。

【請願事項】

1、市町村から京都地方税機構に移管された滞納案件について市町村ごとに年度・税目・件数、名寄せによる人数を明らかにすること。

2、府下市町村では、「一円でも滞納があれば、地方税機構へ送る」、「分割納付案件も送る」など乱暴で画一的な取扱いが行われている。「納税の猶予等の取扱要領(国税庁)」は、「国税の徴収に当っては、画一的な取扱いを避け、納税者の個別的、具体的な実情に即応した適正妥当な徴収方法を講ずることが必要である。特に、納税者から、その納付すべき国税につき即時に納付することが困難である旨の申出等があった場合には、その実情を十分調査し、納税者に有利な方向で納税の猶予等の活用を図るよう配意する。」としており、各市町村は訪問などを実行して滞納者の実情をつかむ努力がされていたかどうか明らかにすること。

3、憲法30条は、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」とあり、憲法31条は、「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又は刑罰を科せられない。」と適正な法定手続きの保障を定めている。
したがって、納付困難者が、国税徴収法、国税通則法、地方税法等が定める「納税猶予(地方税法第15条の1)」、「換価の猶予(同法第15条の5)」、「滞納処分の執行停止(同法第15条の7)」などに該当する場合は、「滞納処分を目的とした地方税機構」への移管及び受入れは中止すること。

4、納付困難者が役所へ相談に行くと「そんな小さい納入金額なら受け付けられない」と、納付能力調査もせずに、突き返している実態がある。
市町村各自治体と地方税機構は、「納税の猶予等の取扱要領」に基づき、納付困難者について訪問等を行い実情をつかむ努力を徹底し、納税緩和措置を積極的に行うこと。

5、特に地方税法が規定する納税緩和条項の理解を職員に徹底し、滞納者には、次のような法律に基づく納税緩和措置を丁寧に説明する注意義務を課すことを求める。
@「徴収猶予(地方税15条の1)」が示す火災、病気、廃業、失業など第1号から3号は当然であるが、第4号の「事業で著しい損失を受けた場合」とは何か、「下請企業である納税者が、親会社からの発注の減少等の影響を受けたこと、その他納税者が市場の悪化等その責めに帰すことができないやむをえない事由により、従前に比べ事業の操業度の低下または、売上の減少などの影響を受けたこと。」(納税猶予等の取扱要領)などが該当することを具体的に示すこと。
また、猶予事実が認められた場合は、「現在納付能力調査」により、納付困難な部分について猶予が認められること。許可されると、督促や滞納処分を受けることがなく、猶予期間中の延滞金年14.6%がゼロないし、4.5%に軽減されることなどを具体的に納付困難者に説明すること。

A「滞納処分の停止」(地方税法第15条の7第1項)についても、「滞納処分ができる財産がないとき」は当然であるが、第2号の「滞納処分を執行することによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。」の説明を丁寧におこなうこと。
法令等は、「生活を窮迫させる」とは、「生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できないと認められる程度」としている。
  京都府の「生計費需要額早見表」や「生活保護基準」に基づく計算を個別に行い、
差押禁止程度の所得状態であるならば、直ちに滞納処分を停止し、「差し押さえた財産があるときは、その差押を解除しなければならない。(地方税法第15条の7第3項)」こと、また、「納入する義務は、その執行の停止が3年間継続したときは、消滅する。(地方税法第15条の7第4項)」ことを納付困難者に説明すること。

6、徴収、滞納処分に携わる職員が、このような法令等が定める「納税者に有利な方向で納税の猶予等の活用を図るよう配意する」ことを怠っていないかどうか、調査して研修を徹底すること。

7、「納税緩和措置の説明注意義務を怠った場合の一方的な滞納処分」は、「行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的」とした「行政手続法」に反するものであり、無効とすること。
 請願書提出時に機構側とのやり取り次の通りです。(京商連情報より)

【機構側の主な回答など】
▼ここ(請願書)に書かれているところと食い違うことはない。滞納整理というのは個々の滞納事案に即して調査をしっかりして実情を明らかにして滞納整理をするというのが基本。国税徴収法や地方税法にのっとってすすめる。

▼(市町村での分割約束は地方税機構に移管されても有効か?)
 機構の方で分割が正しいかどうか検討する。構成団体が約束されたものをまったく無視することはない。常識でかんがえてほしい。
(常識とは?)
例えば財産がある場合で100万円を一万円づつ分割している場合は100年かかる。ちゃんとした調査をした納税約束ではなく、非常識な分納約束をしている場合は調査もさせていただいてこちらの新たな提案はさせていただく。

▼(納期内に相談があって徴収猶予申請があった場合は機構に送るべきではない。しかし市町村の窓口では納付能力調査もせずに「1円でも滞納があったら機構に移管する」という市町村の姿勢自体が問題ではないか?)
 問題だとは思わない。機構に移管されてからしっかり調査をする。
 地方税法15条の1は納税者の権利だが、15条の5・7項については職権である。仮に徴収猶予の申請があって、機構がその事実を知ったら滞納整理なんてできない。

▼(移管件数はどのぐらいか?)
 はっきりわからない。去年の5月の滞納繰越の人数は8万9千人。想定数としてこれが一番小さい。移管の中身が分かるのは4月5日か6日ごろ。


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