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京都地方税機構、準備不足は明らか
1月から徴収業務開始の連合長通知

拙速では府民に迷惑かけるだけ

 22日の「京都新聞」に「京都地方税機構来春186人体制で始動=vの見出しが踊りました。「またか!」との思いで紙面を見つめた関係者は少なくありませんでした。何度となく繰り返されてきたトップダウン=B今ある山積みの問題点も、元を質せば、現場を信頼しない、はじめに共同化ありき≠フ進め方が原因であることに、府当局は未だに思い至らないかのようです。「府民に迷惑をかけるな!」「職員の声を聞け」。改めて職場からの声が高まっています。

●際だつ「職員信頼せず」の姿勢

 「またも新聞辞令か?!」。思わず、声が出たのは府内の広域振興局税務室で働くAさんです。11月22日(日)付の「京都新聞」で、「京都地方税機構来春186人体制で始動=v「共同徴収4月本格化 府から100人、市町86人」との見出しが目に飛び込んできたからです。
 Aさんに限らず、いわゆる税務共同化≠ノついては、新聞紙上で初めて動きを知るという事態が、これまで何度となく繰り返されてきました。
 22日付の報道では、「来年度からの職員体制が22日までに固まった」とされていますが、職場では、そうした周知は行われていません。そして、遡ること19日に行われた京都自治労連や、13日の府職労税務部会との交渉においても、「地方税機構」当局や府税務当局からも、来年度についての言及はありませんでした。

 税務共同化≠ノついては、「職員を信頼しない」という基本的スタンスが今回も貫かれたといえます。
 一方で、22日付の報道を目にした京都市内の府税事務所で働くBさんは、「今の調子では、『4月本格化』も絵に描いた餅≠ノならないか。職員、ひいては府民に、しわ寄せとならないか」と心配します。
 というのも、この間の労使交渉で明らかになった、「地方税機構」の実態は「何もかも準備不足」(11月20日「京都自治労連」ニュース)という現状だからです。各自治体の税務電算を結ぶ「連携システム」については、11月19日時点で連携が確認できている自治体が「0」。3段階あるテストの第3段階に、やっと「これから入っていく」というテンポだからです。

 仮に1月実施、4月本格実施ありき≠ナ、強引に事が進められた場合、2年前に繰り広げられた府税電算システム更新時の悪夢が全府的に拡大し再現されかねない事態も危惧されます。府内の税務職員はもちろん、府民にも迷惑を及ぼす可能性も否定できません。

●物件′ゥずに事務所選定?

 ソフトだけではなく、ハードの現状もお寒いものがあります。たとえば「地方税機構」の乙訓地方事務所は、総合庁舎裏にある車庫の、そのまた裏にあるプレハブの2階に予定されていることが明らかになりました。狭く急な階段を上り下りしなければならず、税という極めて重要な個人情報を管理する施設としても、あまりにもお粗末な建物です。
 職場からは「よりによって、どうしてこんな所に…」「そもそも、誰も物件≠現認していなかったのではないか」「万が一、事前に見ていた人がいたとしたら税務職員として失格だ」との声さえ挙がっています。
 ここにも、事を急ぐあまりに現場を無視する当局の姿勢が如実に表われています。
 府税支部西分会は、10月23日に京都西府税事務所長あてに、「納税者、職員にとって安全・便利・やさしい庁舎≠!」(府税支部行政対策通信)と、設置場所の再検討を求める申入書を提出しました。

●経費の無駄遣いの体制と業務内容

 この間の交渉の中で明らかになったことの1つに、経費の無駄遣いと指摘せざるを得ない、執行体制と業務内容のアンバランスがあります。
 亀岡総合庁舎内での開設が予定されている中部事務所における「共同徴収案件」は、わずかに17件といわれています。ここに、1月以降は少なくとも2名が常駐するという体制です。他の地方事務所もほぼ同様の状況です。「わざわざ、事務所を立ち上げてまでするほどの業務量と言えるのか」との交渉団からの指摘に、当局からは満足な回答はなされませんでした。
 10月には人事異動に向けたヒアリングと全職員対象の税目研修、11月には共同徴収システムの研修開始―といった夏の「地方税機構」立ち上げ時の当局による工程表は、既に反故にされています。
 一方で、「業務範囲」は変更したとはいえ、1月からの業務開始と4月からの本格業務開始に固執する当局に対し、職場からは「1月派遣職員のヒアリング、いつ行うのか」「4月から本格業務開始というならば、組織提示とヒアリング、研修をいつ行うのか」と不安の声があがっています。
 賃金体系・水準をはじめとして、税務手当、休暇などの労働条件が異なる職員が協力し合って仕事をしていく環境づくりという点においても、準備不足の現状です。

●引き続き声を集めて

 こうしたもとで、11月25日に税務当局は税務課長名による各府税事務所長(広域振興局税務室長)あての文書(「平成22年1月からの徴収業務の開始について」)を発出しました。19日付けで「地方税機構」から府知事と各市町村長あてに発出された連合長通知≠ふまえた体裁となっています。
 その通知≠フ一節が奮っています。
 「今般、税務行政に対する住民の方々の信頼を最優先に…1月から業務を実施することといたしました」とのくだりです。府内の税の現場からの「準備不足は明らか。拙速なすすめ方では府民に迷惑をかける」との声に逆行する内容です。

 通知≠ェ発出されても、山積みの課題は消えるわけではありません。引き続き、府内の税務職場内外の声を集めて、府民本位の税業務と職場の実現にむけた奮闘は続きます。


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