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教育研究より大学経営が優先

山田知事が府大と医大の独立行政法人化を表明

 山田知事は、いま開かれている6月府議会で自民党議員の質問に答えて府立大学と医科大学に2008年から「独立行政法人化」を持ち込むことを明らかにしました。知事は、本庁の組織再編や1500人の職員削減など打ち出していますが、独法化がこの動きを加速するおそれがあります。独法化は、大学の将来を大きく左右し教職員だけでなく授業料の値上げなど府民にも影響します。

 府民・教職員・学生の声聞かずに府議会で突然

 7月4日の府議会本会議で知事は、08年度を目途に府立大学と府立医科大学を法人化する方針を明らかにしました。大学の独立行政法人化は、単に運営方法の変更に止まらず、大学における教育研究のあり方や教職員の身分にもかかわる重大な問題です。
 このため府職労の大学部会や両支部では、法人化に反対するとともに、大学改革にあたっては大学自治や学問の自由を尊重すること、府民・教職員・学生など意見を広く聞くことを求めてきました。今回の知事の態度表明は、こうした当たり前の要求に耳を貸さず、何が何でも法人化をすすめて大学の経営を府から切り離すことを最優先したものです。


 法人化された全国の国立大学では

 04年4月から法人化された国立大学や一部公立大学では、様々な問題が起こっています。
 その一つは財政的な困難です。国立大学には基本的運営経費として運営費交付金が国から交付されますが、この内人件費を除いた分の1%が効率化計数といって毎年自動的に削減されています。また、付属病院をもつ大学では毎年2%の収入増が義務付けられ、その分、運営費交付金がさらに削られます。
 こうした財政的な締め付けは、教育・研究条件の悪化をもたらしています。教育研究費が削減され、教員は外部資金の獲得に奔走したり、そのための申請書づくりや中期目標の書類作成に追われ、経営合理化による教職員の削減ともあいまって教育と研究の質の低下が懸念されています。
 学生にとっては授業料の値上げが心配されます。大学の運営に関しても、理事長を中心にしたトップダウンが強化され、教授会や学長選挙などの民主的運営が形骸化されています。


 情報を公開し、府民と教職員の声を聞け  

 このように多くの弊害が指摘される大学の法人化ですが、各自治体の財政危機のもとで全国の公立大学にもその動きが押し寄せています。しかし、兵庫県や高知県など、当面、法人化を選択しない決定をした自治体もあります。京都府は拙速に法人化を行うのではなく、府民や関係者にすべての情報を公開して意見を聞くことが必要です。
 府職労大学部会と両支部はこの間、法人化の問題点を明らかにするとともに、府民に貢献する大学をめざしてパンフレットを作成し、教職員や学生、OBなどに配布してきました。
 また、学習会で繰り返し問題点を学び、支部交渉で大学当局に法人化に反対するよう要求してきました。知事が方針を明らかにしたもとで、今後は両大学の法人化が府民の利益に反するものであることを具体的に府民の中に訴え、方針の撤回を求めていくこととしています。



 突然の提案に強い憤り府大支部支部長 
 突然に、府議会答弁という形で、府立両大学の法人化の方針を公表した今回の手法に、憤りを感じます。知事答弁では、法人化の理由として、@府民ニーズに迅速に対応するための大学の自主性・自立性・機動性の確保、および、A府民への説明責任を果たすための財務等の積極的公開や大学外部からの運営参画の必要性を挙げていますが、いずれも、法人化せずともできることであり、法人化の論拠とはなりえません。むしろ、両大学の法人化は、府民の利益に相反するものです。この点を世論に強く訴えて行きたい。
 私たちの運動に対して、卒業生や退職された教員の方々から、激励のメッセージや支援のカンパがたくさん寄せられています。いっそう気持ちを引き締めて闘っていきます


 医療サービス低下への道 医大支部支部長 
 府立医科大学・附属病院の法人化には反対です。「大学の自主性や自立性や機動性の確保」「財務等の積極的な公開」などは、法人化しなくても可能です。
 私たちは、「府民に開かれた大学」「府民のためのよりよい医療・看護」をめざしてきました。こうしたこれまでの努力が法人化でどうなるのか心配です。
 法人化の動きは、「京都府経営改革プラン」の一環であり、「経営的視点」から、府民のいのちと健康を守る医療職場であっても、洛東病院のように不採算部門は容赦なく切り捨てるいまの府政のもとでは、法人化による、府民への医療・看護サービスの大幅な低下を懸念します。


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