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増えつづける「バーンアウト」


 高齢者の負担増、混合診療の拡大など、医療制度の連続改悪、「病院機能評価」の認定にともなう病院運営の変化、IT化、キャリア開発・評価システム=クリ二カル・ラダーの導入など、いま、医大の職場とりわけ看護現場は煩雑となり、長時間労働と共に精神的に余裕の持てない状況が強いられています。クリ二カル・ラダーの導入により、個人の能力が問題とされる風潮が広がり、人間関係が希薄化し、メンタルヘルス問題も深刻化しています。バーンアウト(燃えつき症候群)も増大しています。すでに電子カルテが導入された与謝の海病院もいま、「病院機能評価」を受けるための作業がはじまっており、医大と同じような状況が生まれています。

 「病院機能評価」受審・認定

 府立医大附属病院では、全職員の1年以上かかった多大な努力・労力のもと、この1月に「病院機能評価」を受審し認定されました。業務手順・マニュアルの整理、今まで要求しても実現しなかった設備の充実など前進面はありますが、看護の中身の変質と労働強化がもたらされました。
 在院日数の短縮、3ヶ月に1回の診療科の実績によって見直される病床再編、重症化の患者、手術件数の増加、頻繁な入退院と「インフォームド・コンセント」にともなう説明・同意・計画書の書類づくりの増加、IT化の促進で慣れないコンピュータの操作など、煩雑さが増しています。
 「良質な看護の確保」など患者ニーズの高まりや医療の高度化・複雑化と様々な医療機器への対応で看護技術と医療・看護知識の向上などが常に求められています。感染・医療・安全などの各種委員会や、看護研究・新人教育・研修参加(自己研鑽といいつつも義務参加も多々ある)などが、過密な日常業務に追加され、超勤が増えています。


 クリ二カル・ラダーの導入

 昨年から行っているキャリア開発・評価システム=クリニカル・ラダーは「自らの看護実践能力を客観的に分析し、次の目標をたて課題を明らかにすることをもって、看護の質と看護師の成長を支援する」とされています。「5段階のレベル」があり、どのレベルを選択するかは各自が決めることになっていますが、自己のレベル評価と課題、目標管理についての上司との面談、目標達成に向けての自己研鑽や活動がノルマとしてあります。
 患者さんに寄り添った質の高いケアを実践し、元気に回復された患者さんと喜びを共有できるという看護本来の仕事よりも、看護事例の発表や研修参加が優先され、そのための時間外労働が増加したり、上司の評価ばかり気になったりと、看護師に課せられる精神的・肉体的負担増は深刻です。
 今後、これが成果主義賃金に結びつくことになると、今より高い目標(ノルマ)で駆り立てられ、一層の労働強化・チーム医療破壊につながりかねません。


 人員増は切実な願い

 こうしたもと、新人・ベテラン問わず疲れ果てる状況が増しています。いつ医療事故が起こっても不思議でない状況がここ数年続いています。ストレスも大きく、バーンアウトになる人も増えています。医大病院では、今年の新採がすでに2名退職しました。
 府民サービスの充実と勤務条件の改善からも人員増は切実ですが、「病院経営の改善」が至上命令になっているいまの府政のもと、今年も増員がされていません。それどころか、「7対1看護基準」(現在は10対1看護基準入院患者10人に1人の看護師を配置)を増員せずに実施し、増収のみをはかろうとしています。看護師へのいっそうの労働強化がもたらされ、「秋以降は休みを制限する」との指示が、師長会で公然とされる事態も生まれています。これらは大学の法人化の流れと重なって行われています。
 「府立の大学法人化を許さず、大学の自治と府民のいのちと健康をまもり、安心・安全の看護が提供でき、誰もが生き生きと働き続けられる医大職場にするため、とりくみを強化しています。労働組合の役割が今こそ求められている」職場の状況を報告した看護師さんの決意です。


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