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府職労ニュース



2016年08月08日

3年連続の月例給・一時金引き上げ(25年ぶり)
人事院勧告・京都府職労連の見解

配偶者扶養手当を引き下げ

 人事院は8月8日、国家公務員の給与及び勤務時間、休暇等に関する勧告を内閣と国会に対して行いました。3年連続して、月例給与、一時金を引上げる勧告は、官民あげての運動と社会的要請を一定反映したものといえます。一方で、配偶者にかかる扶養手当と職員に配偶者がない場合の扶養親族1人にかかる手当の引き下げを勧告したことは、安倍首相が2014年10月に人事院へ要請したことから検討が始まったものであり、独立した第三者機関が行う、労働基本権制約の代償という勧告制度を根底から否定するものです。

▼官民較差の財源の3割を本府省手当に配分し、東京一極集中を加速!

 勧告では、①俸給表について、初任給を1,500円引き上げ、若年層についても同程度の改定を実施。その他は、それぞれ400円の引き上げを基本に改定(官民較差708円、0・17%に基づき引上げ)、②一時金について、勤勉手当の支給月数を0・10月引き上げるとしています。引き上げは当然ですが、抜本的な改善には遠く及ばず、賃上げで景気回復の要請にこたえたものではありません。また、改定原資の3割を本府省業務手当の引き上げに充てることは、地域間格差を拡大し、東京一極集中を加速させるものです。実質賃金が5年連続マイナスとなっており、さらなる給与改善は待ったなしです。京都府人事委員会が地域間格差を拡大することなく、賃金の底上げを図るよう求めるものです。

▼配偶者扶養手当の見直しを勧告政府の政治的介入を許し、勧告制度を否定するもの

 今回の勧告では、配偶者扶養手当を現行13,000円を段階的に6,500円にする引き下げを強行しました。見直し理由を「民間企業及び公務における配偶者に係る手当をめぐる状況の変化等を踏まえ」としていますが、今回の見直し勧告は、政権の意向を色濃く反映し、在家庭の配偶者を人材として安価な非正規労働の現場に誘導するため、極めて政治的に行われたものと言えます。今後、すべての手当をターゲットに見直しを行い、賃金を生計費でなく人事評価にもとづく業績給に変質させる突破口とすることは明白です。

 今後、京都府人事委員会が、政治的圧力に屈することなく、労働基本権制約の代償機関としての役割を正しく発揮することを求めるものです。
 
▼再任用職員への「 評価制度」を強化給与本体を含め抜本的な処遇改善を!

 再任用職員の勤勉手当について、勤務実績を支給額に反映し得るよう、「優秀」の成績率を「良好」の成績率よりも一定程度高くなるように設定するとしています。

 年金との接続という観点から、生活できる給与に改善することが本筋であり、まともな給与改善無しに競争を持ち込むことでしかありません。定年前職員と同様の勤務実態にありながら給与格差を設けることを違法とした東京地裁判決の主旨にも反するものです。

 京都府人事委員会が、再任用職員の勤務実態に見合う、給与本体での改善も含め、勧告を行うよう求めるものです。

▼非常勤職員の処遇改善は、今年も見送り業務の実態に見合う給与水準に改善を!

 非常勤職員の給与については、「平成20年に発出した指針の内容に沿った処遇の確保がはかられるよう、府省を指導していく」としていますが、これは、行政職俸給表の最低号給を基礎として決定するというものであり、現在の給与水準を改善するものとはならず、一時金支給についても一切触れていません。 今回の勧告では、9年連続で勧告で言及している京都府をはじめとした地方での改善の動きの障害とさえなるものです。

 京都府人事委員会が、給与・手当・休暇等の諸制度において、職場の実態に即して、抜本的な改善に言及することを求めるものです。

▼介護時間制度を新設。働き続ける制度構築に向けて更なる改善を求める!

 日常的な介護ニーズに対応するため、職員が介護のため勤務しないことが相当であると認められる場合、連続する3年以下、1日につき2時間以下で、勤務しないこと(介護時間)を承認できる仕組みの新設を勧告しました。

 介護離職が社会問題化するもとで、働き続ける制度構築の第一歩となりますが、有給での制度化などが課題となります。
 京都府人事委員会が人事院勧告の内容を充実・発展させ、府の短期介護休暇制度の日数増はじめ、介護と仕事を両立支援する改善勧告を行うことを求めるものです。

深刻な長時間労働の是正に向け、人員増へ踏み込んだ言及こそ必要!

 報告では、長時間労働の是正について「府省のトップが組織全体の業務量の削減及び合理化にとりくむことが重要」とのみ記載し、具体的な執行体制の確保・人員増に踏み込んだ内容とはなっていません。

 京都府人事委員会が、職場の切実な実態と声をつかみ、人員増にまで踏み込んだ報告を行うことを求めるものです。       
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