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府職労ニュース



2014年 8月18日

地域間・高齢層と青年層に格差拡大
「給与制度の見直し」で高齢層の大幅賃下げ

京都府職労連が人事院勧告見解

 人事院は8月7日、国家公務員の給与及び勤務時間に関する勧告を内閣と国会に対して行いました。公務員労働者だけでなく民間労働者、自治体関係者、中小企業者などの懸念や反対を押し切って生涯賃金を引下げ、地域間格差を拡大し、地域経済にも影響を及ぼす「給与制度の総合的見直し」を勧告したことは、7年ぶりの月例給改定や一時金の改善などを帳消しにする大改悪です。

月例給、一時金の改善も実質賃金の改善には遠く及ばず

 勧告では、①初任給を2千円引き上げ、② 月例給を平均0・3% 引き上げ、③ 一時金について、支給月数を0・15月引き上げ、④交通用具使用者の通勤手当の改善を図るとしています。私たちの粘り強いたたかいの反映である一方、消費税増税分にも及ばず、実質賃金の引き上げにつながるものでなく、抜本的改善が求められます。

▼格差拡大・職員分断の「供与制度の総合的見直し」強行

 2014年人事院勧告では、公務員労働者をはじめ多くの懸念や反対の声を押し切って「給与制度の総合的見直し」を強行しました。7月16日に開催された全国知事会でも多くの知事から懸念の声が出され、知事会長の山田京都府知事は、地域間格差を固定化・拡大、地域経済に影響を及ぼすと、総務相に特段の配慮を要請していました。国家公務員俸給表を平均2%引き下げたことは、公民格差の「若干のプラス」を打ち消して、実質賃金を引き下げるもので、たとえ、平成30年4月1日までに段階的に実施することとしても、3年後には実質的な賃下げとなることは明らかです。
 また、俸給を引き下げた原資をもとに地域手当を最大20%(東京都特別区)にまで引き上げることは、最低賃金の地域間格差拡大とあわせて所得の東京一極集中を加速することとなります。また、トヨタ本社がある豊田市が16%とされるなど、極めて政治的な内容となっています。加えて、50歳代後半層の賃金を4%引き下げるとしており、高齢層職員の生活に重大な影響を及ぼし、退職手当への影響も含め生涯賃金を引き下げることは必至であり、断じて許されるものではありません。

非常勤職員の休暇制度改善で
一歩前進

非常勤職員の休暇等について、国では夏季休暇が措置されていませんでしたが、今回の勧告では、任期が6ヶ月を越える見込みである者について、3月継続勤務した時点で勤務日の一定割合以上勤務した場合において、夏季(7月1日~9月30日)において年次休暇を最大3日付与するとしたことは、一歩前進ですが、あくまでも年次休暇の前倒し付与であり極めて不十分なものです。

▼期待を裏切る再任用職員の改善見送り

再任用職員の給与水準について、民間調査の結果、公的年金が全く支給されないこととなる60歳の再雇用者の給与額がわずかに下回っているが、ほぼ均衡しているとして、引き上げを見送ったことは、職員の期待を裏切るもので生計費原則から、改善が求められます。

▼府人事委員会は国追随でなく生活改善につながる勧告を

 府職労連は、不当な「給与制度の総合的見直し」については撤回を求めるとともに京都府人事委員会が国追随でなく、職員の生活改善につながる勧告を行うよう求めるものです。

① 消費税増税と公共料金の値上げが生活を圧迫しているもと、労働基本権制約の代償としての人事委員会勧告制度で国に追随することなく、基本給・一時金はじめ生活改善につながる勧告を行うこと。

② 高齢層職員の賃金引き下げは行わないこと。

③ 高齢期雇用は定年延長を基本とし、再任用職員の生活改善につながる給与水準となるよう、4級格付け等の改善を行うこと。④ 異常な時間外勤務実態の改善と不払い残業根絶のために、必要な勧告と、労働基準監督機関の権能を発揮した調査等を行うこと。

⑤ 臨時職員、非常勤嘱託職員のいっそうの賃金・権利・労働条件の改善について言及すること。

▼覚えておこう山田全国知事会長発言
「東京一極集中が進めば地域経済にとって取り返しがつかない」

 7月16日に開催された全国知事会議では、多くの知事の懸念を踏まえ、「山田啓二会長が公務員給与の見直しに関し、『地域の元気のもと』は『公務員の頑張り』だと強調、『地方公務員の給与削減で地域間格差が固定、広がって、さらに一極集中が進んだら地域経済にとって取り返しがつかない。給与問題に格段の配慮をしてほしい』と要請」(自治日報)

人勧に影響与えた最賃の格差― 全国一律の最賃こそ必要

 今回の勧告で、2%引き下げが強行された背景には、最低賃金の地域間格差の存在があります。

 2013年の最低賃金は最も高いAランクの東京都で869円、最低のDランク(鳥取・島根・高知・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・沖縄)で664円と205円、24%の差があります。人事院は、このことを契機に賃金全体の引き下げと地域手当への上積みで地域間格差を公務の立場から固定化しようとしています。

 「給与制度の総合的見直し」をやめさせ、地域手当を全国一律支給とすることこそ、地域間の経済格差を解消し、労働者全体の賃金底上げを図ることにつながります。                                                      

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