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府職労ニュース



2014年 9月 4日

京都最賃審議会が16円引き上げを答申
「生活保護水準を下回るもの」京都総評が異議申出

少なくとも時間額1,000円以上に引き上げよ

 京都総評は、8月25日に京都地方最低賃金審議会から京都労働局長に答申された最低賃金の改正答申について、9月3日に次のとおり異議申出を行いました。

                                       
異議申出書

 最低賃金法第11条の2項にもとづき、平成26年8月25日に京都地方最低賃金審議会から貴職に答申された最低賃金の改正答申に関して以下の通り異議申出を行ないます。

 なお、最低賃金は、京都府内のすべての事業所と労働者が対象であることから、最低賃金審議会の透明性はきわめて大切だと考えます。今回の審議では、引きあがった額はわかっても、どのような審議が行われたのか、そのプロセスは全く不明です。果たしてこれでいいのか、最低賃金審議会に強く問われていることを指摘しておきます。

【異議の内容】

(1)現行773円を16円引き上げ789円とする金額では、実質賃金が低下するとともに、最低限の生活ができる賃金の保障とはなりません。さらに、この金額は生活保護水準を下回る水準であり、ワーキングプアの解消にはなりません。少なくとも時間額1000円に早期に到達することが必要です。

(2)最低賃金の大幅な引き上げは地域経済の再生のために必要です。とりわけ、景気回復への道筋で、賃金の引き上げ、最低賃金の引き上げは重要な位置を占めてきており、今回の引き上げ額では不十分であることは明らかです。

(3)中小企業支援策については、すべての中小企業・零細企業が活用できるよう、政府に対し、制度の抜本改善と予算の大幅な増額を求めることが必要です。

【異議の理由】

(1)私たちは、今回の審議にあたって、日本の最低賃金が先進諸国の中では異例に低い最低賃金であること、さらに、最近の消費税増税と物価上昇は、とりわけ低所得層を直撃していることを指摘し、大幅な引き上げを求めました。今回の引き上げ額は、中央最低賃金審議会が出した目安プラス1円で、かつ、この目安そのものも最近の負担増をカバーできる水準ではありませんでした。今回の引き上げ率は2.06%ですが、最近の物価上昇は3%強となっており、この引き上げ額では実質賃金は低下することとなります。

 また、最低限の生活を保障する賃金としては極めて不十分であるとともに、生活保護基準を下回ることは、意見書に述べたとおりです。意見書でワーキングプアの状態についても述べましたが、補足すれば、この間、勤労者の所得が減少したため、貧困率の基準である等価可処分所得の2分の1の基準は、1997年の130万円から2012年の111万円(いずれも実質値)に低下し、相対的貧困率は、14.6%から16.1%に悪化しています。このように社会全体の中で貧困が増大していること、低すぎる最低賃金に近い人々が増えていることは由々しきことです。これを改善するためには、働いて得る賃金の底上げ、最低賃金の大幅な引き上げをはかることが必要です。

(2)今日の経済の状況からみて、最低賃金の大幅引き上げはきわめて重要だと言わねばなりません。景気を良くしていくためには賃金の引き上げ、需要の引き上げが欠かせないからです。アベノミクスが叫ばれはじめてから最近にいたる経済指標は、企業収益が増大していますが、自立的、本格的な経済の改善とはほど遠いものです。アベノミクスの中心である、異次元の金融緩和と財政支出で実態経済を改善することや、円安で輸出を促進することなどは、いずれも期待したほどの結果がでていません。さらに、賃金や所得を増やすことや雇用を改善するにはいたっていません。雇用に関しては、正規雇用の求人は増えず、完全失業者と「現在就業中だが転職を希望する求職活動中の者」(国民生活基礎調査)の合計は増大し、悪化しています。こうした結果、内閣府の調査では、需給ギャップは、2014年1~3月期は約1兆円の需要不足、4~6月期は約10兆円の需要不足と、主に需要低下によって拡大してきています。株価を上昇させるために資金を投入しても、これらは、現実の需要にもとづく経済活動ではなく、将来的に破綻せざるをえません。勤労者の賃金・所得の増加による需要の拡大なしに、経済の再生はありえません。

(3)答申では中小企業支援策について「中小企業・小規模事業者の生産性向上をはじめとする中小企業・小規模事業者に対する支援等に引き続き取り組むことを強く要望する」としています。こうしたことが入ったことを評価するとともに、私どもとしては、もう一歩踏み込んでいただきたいと思います。現行制度が京都にも適用されましたが、申請が少ない要因は、中小零細事業所にとって使いにくい制度であることが背景にあると考えます。最低賃金を引き上げ、地域での需要を少しでも引き上げ、それが企業に回るまでにはタイムラグが存在します。それを埋めるためには中小企業支援策は不可欠です。すべての中小企業、零細企業が活用できるようにしなければなりません。詳細は、意見書に書いたとおりですが、安倍首相が国会で「支援の仕方も、使い勝手がいいように変えていくことも含めて検討していきたい」とも述べており、制度の改善と予算の増額を求めるべきだと考えます。

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