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府職労ニュース



2014年11月 7日

全職員の月例給・一時金を引き上げ
京都府人事委員会勧告への府職労見解

「給与の総合的見直し」は見送り

 京都府人事委員会は11月5日、「職員の給与等に関する報告及び勧告」を行いました。最大の焦点になった「給与制度の総合的見直し」については「今後、本府における…民間給与の水準との均衡を確保するための方策や地域間給与配分の方法について、…各地域の実情や職員の状況、さらに、国や他の都道府県における措置状況なども踏まえて、引き続き検討していく」とし勧告を見送りました。

 今回、大義のない「給与制度の総合的見直し」の勧告を見送ったこと、今年度の給与改定についても、国では改定の無かった再任用職員も含め全給料表、全職員の月例給・一時金を引き上げるとしたことは、すべての職員の賃上げを求めた私たち府職労の要求に一定応えたものであり、京都府人事委員会の独自性と見識を示すものです。

 人事院勧告を受け、政府・総務省は通知やQ&Aまで示し「民間給与が高い地域であっても当該地域の国家公務員の給与水準を目安に」「国家公務員給与の見直し内容を踏まえ、給与制度・運用、水準が適正なものになるように」と執拗に国準拠を迫ってきました。

 こうした攻撃に対し、私たち府職労は京都総評、京都自治労連に結集しながら、「給与制度の総合的見直し」が社会的にも大義のないものであり、賃上げと格差是正、地域経済を守ることこそ社会の要請であると筋を通した主張を貫き、京都府人事委員会が国に追随をしないよう求めてきました。9月以降、2200筆を超える人事委員会委員長への要請署名、4回の交渉、2回の人事委員長との懇談・要請、6回の早朝門前宣伝、街頭宣伝、史上初めての人事委員会への宣伝・集会とシュプレヒコール、民間労組・業者団体との連携・共同の行動、地域経済と公務員給与問題についての日銀京都支店との懇談など、職場内外でのとりくみに全力をあげてきました。勧告は、こうしたたたかいの中で行われたものとして貴重です。

2014年京都府人事委員会勧告についての京都府職労の見解

■ 全職員の月例給・一時金での引き上げは重要


 月例給・一時金について引き上げを勧告したことは、公務・民間が共同で「全ての労働者の賃上げで景気回復を」と求めてきたたたかいの成果です。また、国・人事院とは異なり、再任用職員を含む全職員の給与を100円から2100円引き上げ、一時金を6月と12月に均等に配分するとしたことは重要ですが、実質賃金の引上げにはほど遠く、最低賃金を含む全労働者の賃上げが引き続く大きな課題です。

■ 交通用具利用者の通勤手当の改善を足掛かりにいっそうの引き上げを

 交通用具利用者の通勤手当の引上げは「国の改定額よりも既に高い水準にある」と当初の人事委員会交渉での回答に対し、長距離通勤の現状など京都府の実態に基づいた改善要求を行ってきたたたかいの反映と言えます。

 今後、燃料費の高騰を埋めるような、さらなる引き上げと高速道路利用要件緩和など運用の改善が必要です。

■ 「現給保障」廃止勧告の一方で、一定の激変緩和措置と昇給抑制の回復は重要

 平成18年度の「給与構造改革」に伴う「現給保障」について廃止を勧告したことは、対象職員が多い府の実情から拙速と指摘せざる得ません。一方で、廃止時期を3年後の平成30年度からとし、存置期間を含む激変緩和措置を講じたこと、平成27年4月に対象の全職員に昇給抑制の回復を行うとしたことは、この間の職場からの声を反映したものと受け止めます。平成28年4月には一定の職員にさらに1号回復を行うとしていますが、全ての対象職員に行うべきであり、引き続く課題です。

■ 「給与制度の総合的見直し」-今後の導入を許さないたたかいが重要

「給与制度の総合的見直し」については、民間給与との均衡を確保することを念頭に、国との制度的均衡を十分考慮して他府県状況や職員の生活実態、現給保障廃止の影響等を考慮するなど、本府の実情をふまえた検討を行っていくとして、検討に留めました。

 これは、昨年に続く国の給与削減に対し「もう黙ってはいられない」という、深刻な地域の疲弊と危機感を背景にした、この間の知事会をはじめ地方6団体を含めた「地方の抵抗」が底流にあります。「賃上げと格差是正、地域経済守れは社会の要請!」をスローガンにした官民共同した世論と運動の高まり、そして庁内世論の高まりが力となっています。

 引き続き、民間との水準確保を第一義に「給与制度の総合的見直し」に大義なしの世論を高め、導入を許さないたたかいが重要です。

■ 「高齢層の昇給・昇格制度の『見直し』」を引き続き

「検討課題」に留めたことは評価勧告で50歳代後半層の昇給・昇格制度について「見直し」はせず、引き続き検討課題にとどめたことは、私たちの要求をふまえたものとして、評価できるものです。

■ 「職員の勤務条件等」の改善に引き続き言及

 「職員の勤務条件等」として、「総実勤務時間の短縮」「健康の保持増進」「仕事と育児・介護等の両立」「非常勤職員の勤務条件」について報告で触れたことは、今後の交渉等での課題となるものです。府当局はこの内容を真摯に受け止めて、改善に向け努力することが求められています。

<総実勤務時間の短縮>

 総実勤務時間の短縮は「極めて重要な課題である」とし、「任命権者においては、時間外勤務の要因の把握に努め…より実効性のある取組を着実に進める必要がある」と言及しています。 しかし「任命権者においては…事前命令・修正命令等の徹底が図られた」「各担当ごとに事業計画を作成し、業務の進捗管理や協力体制の構築にも取り組んでいる」「特定の職場において、事前命令を受けていないにもかかわらず速やかに退庁していない職員や時間外勤務が長時間に及んでいる職員が依然として見受けられる」との現状認識は、日常的に「2割前後の職員が適正に事前(修正)命令を受けていない」「約1000人の職員が恒常的に時間外勤務を行っている」本庁をはじめとする職場実態とは、かけ離れており重大です。

<健康の保持増進>

 健康の保持増進については「所属長は不要なストレスのない職場づくりを進めるとともに、常日頃から職員と接する中でその言動等に現れる変化を早期に発見し、職員に専門医の受診を促す等の適切な措置を講じることが重要」として、引き続き、所属長の役割発揮を求めていること、パワー・ハラスメントについても「メンタルヘルス不調の一因」とするだけではなく、「職場環境にも影響をもたらす」として、その防止の必要性を強調しています。

<仕事と育児・介護等の両立>

 仕事と育児・介護等の両立支援については「業務の遂行方法や分担を工夫するなど、制度を利用しやすい職場環境の整備に努める」「制度の利用を促す」などの所属長の役割を引き続き強調しています。しかし、男性の育児休業とともに、私たちが課題として強調していた育児休業の正規職員での代替職員配置には言及していないことは極めて不満です。

<非常勤職員の勤務条件>

 非常勤職員の処遇については、平成19年から8年連続で言及が行われました。「任用に当たっては、勤務条件の明示等適切な任用手続を行う…勤務条件について引き続き検証し、適切な処遇の確保に努めていく必要がある」と言及しました。

 私たちがこれまで要求してきた、恒常的労働における非常勤職員の配置や均等待遇の観点での抜本的処遇改善に踏み込むことが求められます。

■ 高齢期の雇用問題-安心して働き続けられる環境整備を

 高齢期の雇用問題については「一層高い意欲を持って能力を発揮することができるような取組が求められるところである」と言及しました。

 また、再任用職員の給与については「本府においても民間の動向、国や他の都道府県の措置状況を注視しながら、必要な検討を行っていく」との言及に留まりました。昨年に続く「検討」に留まり、給与水準の改善を先送りしたことは不満です。

 府当局は、再任用職員が生活できる給与水準の確保、能力を生かし意欲をもって働くことができる制度の構築に向けて、人事委員会とともに精力的にとりくむ必要があります。

■ 年末確定のとりくみに全力をあげましょう

 府職労は、この間、京都府人事委員会に対し「給与制度の総合的見直し」を勧告しないこと、生活できる賃金引き上げを行うことなどについて、職場内外の世論・運動と結んでとりくんできました。

 今回の京都府人事委員会勧告は、政府・総務省からの介入の中での、たたかいの一定の到達点と考えます。引き続き、府庁に働く全ての労働者の要求前進をめざして、京都総評、京都自治労連に結集しながら、年末確定のとりくみに全力をあげるとともに、地域経済の再生と地方自治の本旨が生きる働きがいのある職場づくりに奮闘していきます。  

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