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のどかな風景が広がる丹後半島の春。岸壁には、波が押し寄せ白いしぶきを上げる。新緑がまばゆくなるこの季節、丹後半島宇川地域に、米軍基地が建設されようとしている。京都自治労連は4月13日、宇川地域に住む永井友昭さんの案内で現地調査を行った。府職労連から3人が参加した。 米が計画するのは、航空自衛隊経ヶ岬分屯基地への米軍「Xバンドレーダー基地」。北朝鮮がアメリカを攻撃するために発射するミサイルを途中で撃ち落とすためのレーダー基地で、日本ではなく、アメリカ本土の防衛が目的であることが明らかになっている。 この計画は、今年の2月末に突然発表され、3月11日の宇川小学校を皮切りに防衛省の説明会がくり返し開催されている。京丹後市や京都府がすでに配備されている青森県車力への調査団を送ったほか、質問書を出したりして、建設に向けて動き出している。 ▼200m以内に2つの集落 自治労連の現地調査には、京都府職労連や京都市職労、宇治市職労、舞鶴市職、京丹後市職労などが参加し、自衛隊分屯地周辺を永井さんの説明を聞きながら調査。 基地の周辺には、約90世帯の袖志地区と25世帯の尾和地区がある。袖志はその昔、海女さんがいてサザエやアワビを取っていた集落。いまも漁港があり、半農半漁の集落。人々の営みが続いている。 自衛隊分屯地の前では、地元の人が畑を耕していた。一見、これまでの生活の営みが続いているように見える。 しかし永井さんの話によれば、この平和でのどかな集落の住民の心は揺れているという。「この地域、戦後の1958年まで米進駐軍が駐留していた。若い米兵がいろんなことを行い、決していい経験を持っていない」ため、平和な生活が壊されないか不安を抱いているという。当然、いまの田畑は取り上げられてしまうだろう。 ▼強い電波出力で環境・健康への不安は… また、住民の間ではXバンドレーダーによる生活や健康への不安も語られている。Xバンドは、波長が短いため大気による影響が大きく、電波を北朝鮮まで到達させようとすれば大出力が必要になる。平均出力170KWの能力があれば、4000kmの弾道ミサイルの弾頭が探知でき、2000km以内なら実弾頭とオトリの識別が可能という。 その一方で、周辺への環境への影響を懸念する声もあがっている。 「宇川地域からも、青森の車力に調査に行った方がいる。車力の周辺は民家がなく、広大な田畑と防風林があって、人里まで2キロある。宇川は民家まで200mで立地条件が違う」と永井さんは言う。また、基地そのものは三重の鉄条網で覆われ、自動小銃を携えた警備の軍属10人が24時間体制で厳重警備にあたっているともいう。 約160人の米兵や技術者の居住地域は明らかになっていないが、車力でも米兵による犯罪が起きているように、宇川で沖縄のように米兵による犯罪が起きないという保証はない。 ▼「米軍基地建設反対丹後連絡会」を結成 調査後の懇談会で、地元の袖志から参加した元丹後町職員は、「地元説明会で防衛省の人は、『危険はない、抑止力が効いて安全性が高まる』といった。しかし、アメリカのために土地を提供しなければならない。漁港があり漁への影響、ドクターヘリの運航にも影響が出るのではないか」と不安を語った。 地元では「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」が結成された。「宇川に米軍基地ができるということは、住民の全く手の届かないアメリカの領土になるということ。最前線の基地であり、北朝鮮の攻撃目標になるということ。じっくり考えてみなければならない」と訴えている。 「住民の不安を無視した設置強行は許されない」との思いをいっそう強くした現地調査だった。 5月1日には、京丹後市で「米軍基地建設反対丹後連絡会」が結成され、活動が開始されています。 |
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