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府職労ニュース



2012年 9月18日

地域の中核病院として発展を
住民アンケート、開業医・病院訪問で切実な声

与謝の海病院の法人化問題 

 9月6日、宮津・与謝、丹後の各家庭の朝刊に「与謝の海病院が京都府直営の病院でなくなる」のチラシ(返信はがき付)を折り込みました。さっそく、びっしりと声が書き込まれたアンケートハガキが150通を超えて届いています。

▼法人化―わずか3回の議論で決定

 府立与謝の海病院の法人化が、決まったことのようにすすんでいます。病院の経営形態を変えることは、地域の医療にとっても大きな問題です。
 与謝の海病院の法人化は、京都府医師会長はじめとする与謝の海病院のあり方検討有識者会議(地元首長はオブザーバー参加)のわずか3回の議論で決定、提言が出され、2月議会で知事が法人化を表明後、地元への説明が行われています。

▼まず地域医療の調査や地域の声を聞くことが大事

 与謝の海病院と地域の医療をよりよいものにするためにも、まず京都府が地域医療のニーズや資源等の実態を調査し、どういう課題があり、経営形態、どういう診療科やサービス、医師の確保が必要かなどを、地域の関係者や住民と一緒に考えることが必要と私たちは考えています。
 府職労連は、住民へのアンケートを行い、9月23日には懇談会を計画しています。

▼明らかになった地域医療の課題―訪問やアンケートで

 7日に開業医・病院を訪れ、懇談しました。

 ある医療機関では、「丹後地域医療の課題は、地域完結型になっていないこと。家族のことを考えると、重篤な病気で(ドクターヘリで)京都に送っても、家族の負担になる。医療機関が連携し丹後で他医療圏によらず完結で行えるようにすることではないか。例えば地域では、透析を持っている病院や診療所が少なく、やむを得ず兵庫に行かれている。府としてどうするのかが問われている。附属病院になったからと言って医師が確保できるわけではないと思う。現在北部地域では、京大の医師は80人おり、府立医大との連携だけでは無理がある」と述べています。

 ある医師は「腎臓内科、血液科、糖尿病等の専門医が丹後にはいない。丹後でどこかの病院でそうした医師がいれば。脳疾患など3時間あったら助かる病気も、いまの丹後では他の医療圏に運ばざるを得ないため助からない現実もある。地域で助かる病院にしてほしい」と語っています。

 アンケートでも、脳神経外科の充実、第3次究明救急センター、発達専門外来、糖尿病の専門医の確保を、などの声も寄せられています。

 こうした実態や声をもとにした、与謝の海病院のあり方と京都府の責任の発揮が求められています。

 23日に開催する懇談会では、府職労連から開業医訪問やアンケートで寄せられた内容も報告し、一緒に地域医療と与謝の海病院のあり方を考えます。

寄せられた一枚一枚のはがきに思いずっしり

 わずかの間に150通を超す回答が寄せられました。その一部を紹介します。

○与謝の海病院があってよかったと思われたことはなんですか。
・主人が64歳で亡くなり、20年間独居で暮らしていますが、20年間健康を見守ってもらい80歳になって生きている幸せを感じます。
・2市1町の最大の病院である。入院経験があり、よいと思った。
・私も妻も個人医よりの紹介で手術を受け病気を治しました。
・地域にある総合病院はいざという時、安心。
・関西圏の都会から引っ越してきましたが、府立の病院があることで安心感がある。
・5年前、大腸がんの手術、その後の腸閉塞による手術で、現在元気にしている。その当時の先生や看護師の対応は素晴らしかった。今後もスタッフの体制を維持してもらいたい。

○与謝の海病院にどんなことを期待していますか。
・医師の異動が激しく、未経験な医師が来て慣れたころ、知らない間にいなくなる。定着率アップを。
・北部地域全体の中核として機能を維持し、脳外科の手術ができるようにしていただきたい。
・友だちの主人が脳梗塞で救急搬送されたけど、対応できず豊岡に転送され、半身不随となった。与謝の海で治療できるようにしてほしい。
・少しでも多くの診療科の設置を。交通の便を良くしてほしい。
・現在リハビリ科がないため丹後中央病院に行かれる方が多いようです。
・法人化しないで全診療科の医師・看護師の体制、その他のサービスが行われ、安心してなおしていただける病院にしてほしい。

○法人化や地域医療について、ご意見を聞かせてください。
・法人にすれば収益が重視される。京都府の直営を望みます。
・地域の病院は自治体が支える必要がある。地域のニーズが一番わかるのは、自治体。そうでないと、住民は医療難民になる。
・形はどうあれ、病院は医師の確保こそ命だと思います。
・こんな大変なことを知りませんでした。もっともっと宣伝してもらったらよかったのにと思います。