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府職労ニュース



2012年 7月 9日

京都府として地域医療に責任持て
与謝の海病院の独立行政法人化問題

京都府職労連が見進 

 与謝の海病院の充実と地域医療に対し、
京都府が公的責任を果たし、
充実させることを求めます  
   
 2月8日京都府立与謝の海病院あり方検討有識者会議は、京都府立与謝の海病院を2008年に大学法人化した府立医科大学への附属病院化を求める提言を京都府に提出し、それをうけた山田知事は「丹後地域の医療を再構築したい」と述べ、早期の移行をめざすことを表明しました。すでに、今年度予算及び組織・定数では、附属病院化の検討をすすめるため、関連経費と人員体制が整備されています。私たちは、既定の事実として拙速にすすめられていることに、大きな不安と危惧を持たざるを得ません。

 有識者会議では、医師数の絶対的不足、患者数の減少、病院会計の現状を踏まえ、府北部地域の医師派遣の拠点病院としての医師確保、弾力的、効率的な病院経営による収支の一層の改善の課題に対応するため府立医大の附属病院化を求めていますが、果たして医師はじめ医療従事者の確保、定着が図られるか、地域医療への責任が果たせるのかなど疑問を持たざるを得ません。有識者会議の委員からも「附属病院化したら医師が増えるというものではない。医大とタイアップしながら魅力ある病院とすることによって全国から医師が集まるようにしなくてはいけない」「地元の医療機関の声も拾い上げながら地域医療支援病院として機能をどう発揮すべきかについてもしっかりと言及すべき」と意見が出されています。

 私たちは府立与謝の海病院の京都府立医科大学への附属病院化は次の4つの点で、問題だと考えます。

第一に、附属病院化が与謝の海病院の職員はもちろん、患者及び地域住民や医療関係者への説明、議論抜きにすすめられてきたことです。

 第二に、附属病院化が、住民の命と健康を守り、地域医療を担う京都府の公的責任を2つの点で後退させることにつながるのではないかということです。府立医科大学と京都府の公立病院の役割はおのずと違っています。一つは京都府の行政として果たしてきた役割と責任である、北部の地域医療を与謝の海病院の機能が大学病院に移行して果たせるのかという問題です。二つは、独立行政法人化した府立医大の附属病院に組み入れられることで、さらに採算が最優先され、これまで担ってきたへき地域医療などの不採算部門が縮小される危惧があることです。

 第三に、附属病院化によって、医師、看護師など病院と地域医療を支える人材確保につながらず、むしろ人材を失う危険性すらあるということです。府職労宮津支部与謝の海病院分会が4月に取り組み、医師を含む75%の協力を得た全職員アンケートでは、法人化と同時に、退職や転職を「考えている」「様子を見て検討する」と少なくない職員が答えており、附属病院化が府立医大とのパイプが太くなるどころか、医師・看護師等の貴重な人材流出の危険さえ明らかになっています。

 第四に、経営形態の変更により病院と地域医療を担う職員の身分、勤務条件に重大な影響を及ぼすという問題です。経営形態の変更で、職員は一旦京都府からの退職を余儀なくされることになり、公務員身分が奪われ、その後大学法人の与謝の海病院にひきつづき雇用されるかどうか重大な問題です。

独法化、附属病院化は通院・入院される患者、丹後はじめ北部地域の住民や医療等関係者等にとって極めて大きな問題です。府職労連は、既定事実としてすすめられている与謝の海病院の独法化、附属病院化方針を撤回し、職員、医療関係者、府民の英知と声をあつめ、地域医療と府立与謝の海病院の充実方策について議論し、再検討することを求めます。

 同時に、府職労連としても、関係団体・個人の方々とともに、懇談会をよびかけ、法人化附属病院化が何をもたらすのかを明らかにし、地域医療の充実と与謝の海病院のあり方を考えるとりくみをすすめます。

 職員の身分・労働条件等に関わる問題については、病院と地域医療を支える重要な人材です。すべての職員が、安心して働けるよう、身分・労働条件の確保と改善を強く求めます。府職労連は常勤・非常勤問わず1人の職員が泣くことがないよう全力をあげる決意です。

 昭和28年の開設以来北部を中心とした地域医療を支えてきた府立与謝の海病院は府民の財産です。北部医療の拠点として、府立与謝の海病院として充実、発展することを強く求めるものです。         
                                           
2012年6月23日
      京都府職労働連合執行委員会