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府職労ニュース



2012年 3月5日

橋下市長は憲法違反の「思想調査」はやめよ
勇気だしアンケート「拒否」などで職員励ます

キラリと光る自治労連大阪市労組 

 2月9日から突然行われた大阪市職員へのアンケート」。市長の命令による職員への、思想調査、組合つぶし、職員支配を狙う橋下徹市長。その異常な攻撃に、敢然と立ち向かった大阪市役所労働組合(市労組)。その活動が今輝いています。

 大阪橋下徹市長は、2月9日に大阪市の職場で働くすべての正規職員(労働組合のない消防局職員除く)に対し「業務命令」として「労使関係に関する職員のアンケート調査」への回答を求め、「正確な回答がなされない場合には処分の対象」とするとの文書を発しました。

 そして、2月10日から16日の間に提出することを求めました。
(写真は2月22日開催された府民集会)

 アンケート項目は、職員のプライバシーや個人の思想信条、組合の所属までも必須項目として回答を求めました。また、他の職員や市民の政治活動、組合活動の告発を強要する内容になっており、職場を分断しバラバラにするものです。

 回答方法は、インターネットサイトを利用して行うことになっており、答えたくない設問にも必ず答えなければ先に進めないシステムになっています。

▼「アンケート拒否」の勇気ある行動へ

 市の職員がアンケートの実施を知ったのは、マスコミ報道。労働組合には一切知らされていませんでした。市労組は10日の朝、総務局に交渉を求めましたが、拒否されました。

 市労組は、「アンケート」の危険性を素早く全国に発信。市当局に対しては中止を求めました。13日には、市労組の臨時大会が開催され、「アンケートは、職員だけでなく全市民・国民にも矛先が向けられ、恐怖政治・独裁政治進めるもの」「人権侵害の思想調査」として「アンケートに応じない」方針を提起しました。「業務命令」として強制する「アンケート」を拒否することは、大変な勇気がいることです。

 また、市民宣伝や市役所門前宣伝を行う中で、市民や団体からの支援や激励の中で、勇気をもらいました。

 民主法律家協会は、アンケート項目について一つひとつ批判、憲法違反の中身を明らかにしてきました。このことも組合員が「拒否」表明する力になりました。

 「業務命令でも回答できないと、震える気持ちを抑えて上司に伝えた」「処分覚悟で、回答しないと答えた」「自分の子どもに誇れる母親でありたい、正しくないと思う業務命令には従えない」など勇気あるドラマが起こりました。

 組合員は、お互いを激励しあうメールを発信。それを受け取った市労組委員長は「返事のメールを打っているとき、涙でかすんで携帯のディスプレイが見えなかった」といいます。市労組組合員の行動は、アンケート強要に苦しみどうするか悩んでいる市職員をも励ましました。

 この行動に、大阪弁護士会長や日本弁護士会長が会長名で中止を求める声明を発表。22日には中之島公会堂を超満員にする集会が開催され、23日には全国から大阪自治労連を支援する行動が展開されました。この中で、府労働委員会は中止の勧告。異例の速さでした。

 反対の声が全国に広まる中で、野村特別顧問が「一時凍結」を表明。その後アンケートの廃棄を表明せざるを得ませんでした。大阪市教育委員会は、アンケート実施の拒否を決めました。

 アンケート開封は「一時凍結」となったものの、データーが廃棄されたわけではありません。いま、「廃棄せよ」のたたかいが広がっています。

▼市長批判すれば反省文、処分という異常

 橋下市長が就任して以来、職員支配の異常な行為がエスカレート。

 11月27日の市長選挙直後の12月8日、「職員は市長の職務命令に忠実に従え」と通達。市長や大阪維新の会に対し批判的なコメントをした職員を特定し、反省文を提出させました。テレビインタビューに答えた職員に「職員に民意を語る資格はない」「民意を語るのは私」との独裁ぶりで、犯人捜しをしたうえでの反省文を強要。

 その後「職場では、みんな口を閉ざすようになった」といれています。

 12月28日の市議会での初の施政方針演説では、「組合が公の施設で政治的な発言を一言でもするようなことがあれば、断じて許さない」「公務員の組合をのさばらしておくと国が破たんする」「市役所の組合を改善することで、全国の公務員組合を改めることしか、日本再生の道はない」などと、日本の政治の行き詰まりや、全国最悪ともいわれる大阪市民の暮らしの実態の原因が、あたかも公務員労働組合にあるかのように描き出し、敵意をむき出しにしました。

 そして、大阪市の一部の労働組合に不適切な行為があることを口実にして、市庁舎内にあるすべての労働組合の事務所の退去を求めるとともに、「組合適正化条例案」を提出するとして、突如「労使関係に関する職員のアンケート調査」の実施へ。

 その後、大阪市の特別顧問らの第三者調査チームが職員の違法な活動実態を調査するためとして、管理職150人の職場内メールのチェック、2月市議会には「職務命令を3回違反した場合」分限免職するという「大阪市職員基本条例」を提出。

▼異常な組合つぶしの背景に大阪都構想

 この一連の異常な労働組合攻撃、職員支配の動きの背景に何があるのか。

 「大阪市の解体、大阪都構想を4年で実現するという『改革』を矢継ぎ早に実施し、大規模開発にまい進すること」があります。

 橋下市長は、11月に条例上の根拠がない「府市統合本部を設置し知事を本部長、市長を副本部長にする」としつつ、地下鉄・市バスの民営化、区長の公募、教育基本条例・職員基本条例の提案など次々と発表。

 「特別顧問を置き、上位下達で支配し、私鉄大手からの役員派遣で交通局の民営化を進めるため職場支配を強めている」とのこと。

 大阪府と市役所の支配体制を確立し、「港湾、空港、高速道路、鉄道、海外との都市間競争にどう打ち勝つかというのが、橋下市長の基本的姿勢であり大型開発できるための統治機構の変更を狙っている」というのです。 職員と市民を敵対させ大阪の支配を画策する橋下市長、職員アンケートを「凍結」に追い込み、市民との共同を広げる大阪市労組の役割が光ります。