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府職労ニュース



2012年 5月25日

「地域の資源を市民の仕事に」
小水力発電で仕事起こし―長野県大町市

「NPOづくり工房」立ち上げ 

 長野県大町市では「NPO地域づくり工房」が「地域の資源を市民の仕事に」を合言葉に小水力発電やバイオ軽油リサイクル事業を進めています。市内に流れる総延長220kmの農業用水路に着目し、水路調査等を経て2003年10月に大町市内3か所に小水力発電実験施設を立ち上げています。自治労連は、実態調査のため4月この大町市を訪ねました。京都府職労からもこの調査に参加しました。
 
 調査した川上水力発電所は会顧問の自宅前の農業用水に顧問が設計、自作した施設。落差0.45m、取水量0.2m3/秒、延長5mの発電用導水路を設け、らせん水車により0.24kWの発電実績を持っています。また駒沢水力発電所は落差1.2m、取水量0.12 m3/秒、発電実績0.80kW、上部の取水口から水が管を垂直に流れ落ちる際に渦が発生し、取水口に取り付けられたプロペラが回転、発電機を回す構造であり、ベトナム製で設置費用30万円と非常に安価。現在は野猿侵入防止用電気柵への通電、環境学習材料に利用されています。

 これらの水力発電所の設置をめぐっては水利権申請が必要ですが、土地改良区、市など同意を求める関係機関が多岐にわることや、準備すべき許可申請書は複雑で負担も大きいこと、電力会社から太陽光発電や風力発電には無い、1台数百万円から1千万円程度かかる電流の逆流防止装置の使用を求められ、事実上売電が不可能な状態となっていることなどの課題がありました。

 一方で小水力発電設置では、土木8割と言われるほど個々のケースに応じたオーダーメードの土木工事の比重が大であり、地元の中小土木企業が活躍できる可能性が高いと考えられます。

 実際に今回の水力発電では市外のある中小土木企業が小水力発電工事のノウハウ取得を企業方針として協力を申し入れ、破格の費用で工事を行う中で、小水力発電設置のノウハウを得て、別会社を興し、全国展開を行っていました。

 これまで小水力発電設置申請がなく、許認可権限もない基礎自治体では申請に関するノウハウがない状態で市民が主体となって水力発電所設置申請をしようとした時に、行政に求められるものは、住民に寄り添い、一緒になって困難を解決しようとする姿勢です。 併せて水利権の調整や同意、回収システムの構築やBDFの利用など自治体が直接関わる側面は多く、再生可能エネルギーの普及を自治体政策の中で明確に位置付ける事が必要だと思われました。