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府職労ニュース



2012年 1月10日

69億円の校舎建設の一方で超マンモス校、雨漏りなど放置
29人以下の中学校クラスも

「豪華一点」「格差拡大」京都教育の実態

 京都の教育は、一点豪華主義や「格差教育」等といわれていましたが、その矛盾が一気に噴き出したようです。超マンモス中学校、校舎の老朽化、教員の非正規化など数え上げればきりがありません。学校現場の問題は、門川市長が長年携わってきた分野でもあり、その責任が問われています。京都市教組副委員長に学校現場の状況など聞きました。(写真は、69億円もかけて建設した開晴館)

▼「開晴館」豪華校舎京都初の小中一貫校


 昨年4月に「東山開晴館」がオープンしました。京都市初の施設一体型の小中一貫校です。東山区の5小学校と2中学校が統合されてできた学校で69億円もの巨費を投じ建設されました。学校の南側、大和大路五条には臨時のバス停もできました。

 地下2階に体育館、地下1階が給食室とランチルームなどがあります。学校の敷地面積が少ないため、運動場が狭く、中学生と小学生が一緒になれば危険なため、中庭に芝生を全面に敷き詰め、そこに小さなジャングルジムと滑り台が置いてあるだけです。校舎は豪華に見えても設備は貧弱な感じ。一般の小学校にある砂場や大きな樹木や花卉類が見あたりません。

 一方で、教室や廊下は広く、統合された学校から図書が持ち寄られたためか図書館は充実しています。教諭が図書館の専任として常駐しています。
 中学校は29人学級、小学校は3年以上が40人、1、2年生は35人学級となっており、中学校は少人数学級ですが、小学校は他校と同じ感じ。でも各学年にプラス1人~2人の先生が配置されています。

▼「格差教育」の末路示している御所南小

 前回の京都市長選挙で話題を集めた御所南小学校も、「特別な学校」として知られています。学校周辺はマンションが林立し、人口が急増しています。この現象は、NHKが御所南小学校の特集をした後から現れました。他府県からの裕福な家庭が入学してくるのも、放映後からでした。不動産屋も御所南小学校が「学力全国一」と宣伝し、マンションを販売。その結果が、ここ数年で1183人のマンモス校になりました。運動場にはプレハブ校舎が立ち、6年生は御池中学校の教室を間借りしています。その御池中学校も教室が足りなくなり、市役所の分室があった6階・7階部分を教室として使えるように対応しています。
(全国的に有名になった御所南小学校だが、今はプレハブ教室も)

 豪華一点主義で建設された学校に人気が集まるのは当然としても、超マンモス校になることまでは予想できなかったのでしょうか。「特定の学校のみを優遇する『格差教育』の末路だ」と、市教組副委員長は語ります。

▼全国有数のマンモス中学校は放置したまま

 他にもマンモス校が進行しているところがあります。伏見区の神川中学校は運転免許試験場の近くにあり、周辺は宅地建設が進み、学校がマンモスに、全国有数の生徒数になっています。3年生は13クラス、今後も生徒数は増えるといわれています。

 「理科の教室は、36学級なのに2教室しかなく、教材費も少ない」─市教組副委員長は、現地の教員からの報告があったと言います。休み時間に保健室を訪れる生徒は50人を超え、対応しきれないとも話します。
(写真、足をすりむいたり危ないプールは放置)

 さらに40年も50年も建築年数が過ぎたにもかかわらず、放置されている学校もあります。ここでは、雨漏り、教室の床に穴があいているなど、校舎や施設の整備・改修要求が出されているにもかかわらず、「予算がない」との理由で放置されています。

▼トイレのない階があり、休憩時ごと長蛇の列

 保護者からは「ガス管が腐敗しガス臭い、引き出しはカビだらけの家庭教室がなかなか回収してもらえなかった」との話や、「校舎の3階にトイレがなく、毎時間、下の階のトイレまで行くが、いつも長い列ができている。子どもは学校のトイレに行きたがらない」との声が上がっています。

 別の小学校では、「プールの下がザラザラで子どもがすりむいた」との報告も。
 その背景に、学校経常運営費を8年で8億6900万円も削減したことがあります。校舎や施設の整備遅れだけでなく、水光熱費や教材費の大幅カット、トイレ掃除の回数を減らしたり、夏休みのプールの授業がなくなったり、子どもたちに犠牲がいっています。

▼教師に負担、非常勤急増過密労働でストレス

 もう一つの京都市の教育の特徴は、トップダウンです。門川教育長時代の06年度から、すべての学校で「二学期制」への変更がされました。10月中旬が前期の終業式で通知表をもらうことになります。土・日を休んで、翌週から後期の授業です。教師も生徒も前期・後期の区別がつきません。

 夏休みは、8月下旬までで猛暑の中で授業が始まります。クーラーをかけても教室が暑くて子どもがぐったり、給食も食べられない子どももおり、教育効果への疑問が出されています。

 教師へのしわ寄せもひどいものです。それぞれの教師が課題を与えられ、超勤は日常的。北区の教育懇談会で月120時間を超える超勤で、疲労もピークという訴えもありました。この中で、メンタルを抱える教員が増えています。「やることが多すぎて、仕事をこなすだけになっている」と副委員長さんは訴えます。

 非常勤の教員も年々増え続けています。
 教育委員会の不祥事も頻発。タウンミーティングで、教育委員会に異を唱える人を意図的に排除したり、祇園で宴会後帰宅に公費のタクシーチケットを使ったり、前回市長選挙直前に門川市長の宣伝のために公費で本を購入し、学校や教育関係者に配布するなど、税金の無駄遣いを繰り返しています。中には、行政訴訟判決で支出を違法として返還を求められています。

 今度の市長選挙は、京都市の教育を刷新するチャンスでもあります。違法なムダ使いをやめさせ、教育予算を増やすこと、「一点豪華主義」を改め、どの子も平等に教育を受ける環境を整備することは急務です。