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府職労ニュース



2012年 5月31日

〝天と地と人のめぐみ生かして”
電力自給をめざす町・岩手県葛巻町へ調査に

自治労連とともに京都府職労 

 世帯数上回る電力生み出す  しかし一方で矛盾も

 5月12、13日、岩手で開催された自治労連中央委員会の帰路を利用して葛巻町のクリーンエネルギーの視察に訪れました。同町はミルクとワインとクリーンエネルギーの理想郷を打ち出し「みわく(魅惑)の町」として全国にPR、観光客も年間50万人を超す人口7273人の町です。
 そこで、「天と地と人のめぐみを生かして」を基本理念とした「新エネルギービジョン」に基づく「新エネプロジェクト」の取り組みを展開しています。大規模な自然エネルギー発電や公共施設への発電設備の設置のほか、自宅への太陽光発電設備や太陽熱利用設備、小水力発電設備、ペレットストーブなどの各家庭への設置にあたっての補助事業などです。

▼大規模牧場開発とともに風力発電

 昭和50年代に、酪農の充実のために1000m級の山々を牧場にする大規模牧場開発が行われた際に、山頂の牧場までつながる林道整備や、牧場管理棟までの電線の敷設などのインフラ整備が行われました。

 そこで1995年頃から高原の風を利用した風力発電が取り組まれました。写真は高さ60m、翼の直径66mもある世界最大級の風車が12基ある「グリーンパワーくずまき風力発電所」(民間会社)です。

 年間予想発電量は、他の1か所を合わせて計5600万kWh/y、一般家庭約16000世帯分の年間消費電力に相当します。発電された電力は全量が東北電に売電されています。

▼中学校の昼間に活用する太陽光発電

 50kw相当の太陽光発電システムも設置しています。電力は自家消費を基本として、中学校の昼間に消費する電力として活用しています。

 他に「安心・安全のまちづくり」「自然エネルギーを身近なものにする」一環として各コミュニティセンターに3~9kWh程度の太陽光発電・蓄電池を非常時でも対応できるように設置。電力は自家消費を基本としているが、余剰電力は売電しており、各コミセンの収入となります。

▼家畜の糞尿など活用しバイオマス

 「バイオガスシステム」は、家畜の糞尿などの排せつ物を利用。バイオガスを燃料にした発電や熱の利用をするとともに、有機肥料などを有効利用できる、環境問題に対応したリサイクルシステムです。

 これら施設全体で葛巻町の世帯数を上回る電力を生み出していますが、ほとんどは東北電力に売られ、町民はごく普通に、売電単価より高い正規の電気代を支払って電気を使っています。(風力発電を電力会社が買う値段は8~9円程度、正規の電力料金は23~24円)

 案内をしてくれた町職員の方も、「地域内で生み出された電力は地域内で消費されないため、町民に自然エネルギーに係る町としてのとりくみが実感されていない」と語っておられました。町ではこうした事態を解消するエネルギーの地産地消をめざす「エネルギーセンター構想」に取り組むとのこと。夢に向かって国をも動かそうとする小さな町の挑戦に目が離せません。