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建築物の遺産価値を残せるよう再考を |
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8月27日、京都市による京都会館の破壊(建て替え)問題で、ユネスコの世界遺産登録に関わる組織(諮問などを行う)のイコモス(20世紀の文化遺産に関する国際科学委員会)が、京都市長宛に「遺産危機警告」を発令、
京都市に「現存する京都会館を変える現在の計画を再考し、劇場のプログラム的なニーズを満たしながらオリジナルの建築物の遺産価値を残せるような、よりよいデザインを見出すべく努力することを要求」しました。 これに対し、京都市の門川市長は「見直す考えはない」とのコメントを発表しています。市民からは、「門川京都市長は、少なくてもこの『警告』にまず応え、計画を一旦凍結し、返事を書くべきです。『警告』を無視して、現在の破壊計画を進めるなら、今後の京都の『世界遺産』登録申請にも大きな悪い影響を与えるのでは」との批判の声が出ています。 京都市長 門川大作氏への警告文 謹啓 前川國男が設計した京都会館に対して予定されている改修に関する、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の20世紀遺産に関する国際科学委員会(ISC20C)の懸念をお伝えしたく、これを書いています。1960年に京都の岡崎公園内に多目的の文化施設として建設された京都会館は、日本の近代建築の最も重要な作品のひとつと認識されています。前川は1928~1930年のパリで国際的に名高いル・コルビジエの下で働き、日本に戻って近代建築に卓越した新しい思想をもたらし、50年間実践し続けました。 前川は20世紀の最も重要な日本人建築家のひとりとして知られており、京都会館は彼の最も重要な作品です。このプロジェクトで彼は、近代建築運動の思想が具現化された新しい文化施設を、京都という町が今も昔もそうであるように、伝統的な歴史上のコンテキストに適合させながら作ることに成功しました。素晴らしい建築作品であり、敬意を払われ、遺されるべき文化遺産です。 ICOMOS ISC20Cは、京都会館に対する今回の改修計画を精査し、次のように懸念しています。この計画は、この非常に重要な遺産に対し、後戻り出来ない害を及ぼします。提案されている新しい舞台のサイズとデザインは、前川の設計思想と細部によって形成されている美と調和を破壊します。 (我々ICOMOSの)国際活動の要請により、私は今年2月に個人的に京都会館の視察を行い、その後、ICOMOS ISC20Cの国際的な専門的・公的ネットワークを使って、再開発計画とそれによって起こりえる文化遺産へのインパクトを精査しました。この状況に対し、現地調査と相対的な遺産価値の評価において外部専門家を起用することによって、厳格で独立した評価を行いました。我々の懸念は承認され、ICOMOS ISC20Cによる遺産危機警告(Heritage Alert)が発令されました。 この遺産危機警告は、京都会館保全の脅威に関する国際的な注意を喚起し、望ましい保全方法のさらなる検討を促します。遺産危機警告はISC20Cのウェブサイトに登録され、ICOMOSのネットワークを通じて配布されます。さらなる情報が提出されたときは更新されます。 我々は最大級の敬意を持って、京都市に、現存する京都会館を変える現在の計画を再考し、劇場のプログラム的なニーズを満たしながらオリジナルの建築物の遺産価値を残せるような、よりよいデザインを見出すべく努力することを要求します。 敬白 シェリダン・バーク |
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