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府職労ニュース



2012年10月23日

高齢層直撃公民較差▲381円(▲0.10%)給料表のマイナス改定
12年京都府人事委員会勧告に対する府職労見解

 若年層改善、現給保障の廃止と昇給・昇格制度は、「見直し」せず 

 京都府人事委員会は、10月10日、「職員の給与等に関する報告及び勧告」を行った。その内容は、①月例給における民間との較差▲381円を解消するため、国の俸給表の構造を基本とした給料表の改定、②期末・勤勉手当は据え置き、③特地勤務手当の級別区分の「見直し」、④現給保障について、廃止は勧告せず検討課題にとどめる、⑤50歳台後半層の昇給・昇格制度について、「見直し」は勧告せず検討課題にとどめる―などという内容である。職員の願いに背を向け、マイナス改定としたこと、特地勤務手当の級別区分の「見直し」を打ち出したことは、極めて不当な内容である。一方で、現給保障の廃止と昇給・昇格制度の「見直し」を勧告せず、初任給を含む若年層の改善に踏み込んだことは、この間の我々の要求とたたかいを踏まえたものである。

▼給料表のマイナス改定は職員の願いに背くもの

 公民較差を▲0・10%(管理職給与カットがない場合)としたことは、最低賃金引き上げという賃金底上げの流れに水を差すものである。
 特に「昨年の人事院勧告で示された俸給表等の構造を基本として、本府の民間給与水準を適切に職員給与に反映させた給料表に改定する」とし、高齢層について最大0・33%(行政職)という段階的なマイナスの較差を持ち込んだことは、1年遅れで国の措置に追随した明らかな年齢差別であり、不当なものである。
 期末・勤勉手当については民間の年間支給月数が3・94月で、府職員の3・95月とおおむね均衡しており据え置きとしたことは、引き上げへの期待を裏切るものである。

▼初任給・若年層改善は重要

 一方、府職労連が強く求めてきた初任給を含む若年層の引き上げが行われたことは、非常勤嘱託職員の給与改善につながるものであり、重要である。

 特地勤務手当の級別区分について、「所要の経過措置を講じた上で」とはしたものの、見直しを行うとしたことは、府民の安心・安全を守る第一線職場である該当職場からの「見直しは慎重に」と求める声を裏切るものである。

▼現給保障廃止は勧告せず

 平成18年度から実施した「給与構造改革」に伴う経過措置(いわゆる「現給保障」)について、昨年の「廃止に向けて検討を進める必要がある」との言及に続き、今回においても「廃止について検討を進める必要がある」との言及を行い、即廃止ではなく検討課題にとどめたことは京都府職員の実態や私たちの要求を踏まえたものとして一定、評価できる。

▼50歳台後半層の昇給・昇格制度は「見直し」せず

 国や少なくない団体で勧告されている50歳台後半層の昇給・昇格制度について「見直し」はせず、検討課題にとどめたことは、私たちの要求を踏まえたものとして一定、評価できる。

▼勤務条件改善に言及

〈総実勤務時間の短縮〉

 事業場調査を通じ、「時間外勤務が長時間に及んでいる職員及び年休休暇の取得日数がきわめて少ない職員が多い実態、さらに、同一の職場内における特定職員への業務の偏在」が見られることが今回も述べられている。

 また、「特定の職場において、事前命令を受けず速やかに退庁していない事例等が見受けられる」として、特に所属長が「時間外勤務の事前命令・修正命令を改めて徹底し、事前命令を受けていない職員について速やかな退庁を促す」とともに、「適正な勤務時間管理に努め、率先して効率的な業務運営を実行していく必要がある」としている。

 私たちは、不払い残業が明確に存在し、その根絶のためには所属長任せにせず、任命権者の役割と勤務時間管理の仕組みづくりを求めてきたが、今回の勧告で任命権者の責任について言及されなかったことは不満である。

 一方、時間外勤務手当について「業務の実態等に応じ適時適切に支給される必要がある」と一歩踏み込んだこと、長時間勤務が「職員の心身の健康や生活に深刻な影響を及ぼすこともあることから、医師による面接指導等を徹底する必要がある」としたことは重要である。

〈健康の保持増進〉
 健康の保持増進については、職場のメンタルヘルス対策のさらなる徹底と、明るく活力のある職場環境づくりを進めるために所属長が「継続的かつ積極的に取り組んでいくことが重要」であるとした。

〈仕事と育児・介護等の両立〉
 仕事と育児・介護等の両立についても、引き続き両立支援の必要性や制度の内容を十分に理解し、「日頃から職員間で必要な情報を共有し、業務の遂行方法や分担を工夫する中で、職員に積極的に働きかけていく」など、管理職員の役割の大きさが強調された。

〈非常勤職員の勤務条件〉
 非常勤職員の勤務条件については引き続き適切な処遇の確保に努める必要があるとした。
 これら勤務条件については、私たち職員の生活と仕事の実態を踏まえて、その改善を求めてきたものであり、府当局はこの内容を真摯に受け止めて、改善に向け努力することが求められている。

▼高齢期の雇用問題―安心して働き続けられる環境整備を

 高齢期の雇用問題については「高齢層職員の能力等を十分活用しながら雇用を確保する」とともに、国における地方公務員についての再任用による雇用と年金の接続を図ることとする制度の検討状況を注視しつつ、必要な環境整備など適切に対応していく必要があるとした。
 府当局はこの内容を真摯に受け止めて、高齢期雇用について、安心して働き続けられる環境を整備することが求められている。

▼国の賃下げ法は憲法違反、大幅な退職手当の削減反対、知事は国に意見表明を

 国家公務員の給与臨時特例法に続く、国家公務員退職手当法「改正」法案は前例のない大幅削減であるばかりか、重要な労働条件であるにもかかわらず、労働組合側に十分な説明がないままに閣議決定が強行されたものであり、府職労連は、人事委員会が遺憾の意を表明するよう求めてきた。

 京都府人事委員会は、「給与勧告実施の要請等」において、▽国家公務員における給与臨時特例法による減額措置、▽退職手当の支給水準引下げについての閣議決定―について言及しつつ、「地方公務員についても、国家公務員の同手当制度の改正に準じて必要な措置を講じるよう要請されるなど、公務員の給与等を取り巻く状況は非常に厳しいものとなっている」と述べ、「職員が誇りと志をもって生き生きと職務に従事できるよう」努力を重ねる決意を表明している。

 京都府の山田知事は、給与臨時特例法を廃止するよう政府に求めるとともに、国家公務員の退職手当削減の京都府への押しつけを行わないよう関係機関に働きかけるべきである。

▼年末確定闘争に全力をあげよう

 私たち府職労連は、この間、京都府人事委員会に対し、要求署名や交渉、学習会など職場からのたたかいとともに、官民共同のたたかいをすすめてきた。
 府職労連は引き続き、年末確定闘争に全力をあげるとともに、地方自治の本旨が生きる働きがいのある京都府政の確立に向け奮闘するものである。