京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化
府職労ニュース



2012年 8月 9日

許せない 給与の改善勧告を見送り
55歳超職員の昇給ストップ

2012年人事院勧告についての府職労連見解 

 一時金の支給月数は据え置き

 人事院は8月8日、国家公務員の給与及び勤務時間等に関する報告と勧告を内閣と国会に行いました。その最大の特徴は、「賃下げ法」による減額前の給与の額で官民比較し、改善勧告を行わなかったこととともに、55歳を超える職員の原則、昇給停止など高齢職員の給与水準の抑制を打ち出したことです。また先立つ7日、政府は国家公務員の退職手当大幅削減の閣議決定を行いました。府職労連は次の見解を発表しました。

▼「賃下げ法」を受認

 2012年度人勧の第1の問題点は、「賃下げ法」による減額後の給与の額が「民間を下回っている」としながら、「賃下げ法」による減額前の給与の額を民間賃金と比較し、較差が小さいとして改善勧告を行わず、据え置いたことである。

 国家公務員の給与は「賃下げ法」により、今年4月から平均7・8%ものカットが強いられているもとで、民間との間で7・67%の逆較差が生じている。しかも、人事院は、昨年の給与報告の中で政府による賃下げについて「国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させることとする国家公務員法の趣旨に照らし問題がある」と言及した。当然、「賃下げ法」が成立したもとでも、情勢適応の原則に照らして、実際の支給額に基づく官民比較での改善勧告こそが行われるべきである。

 にもかかわらず、政府の行った「賃下げ法」を受認し、減額前の給与の額で官民比較し、改善勧告を行わなかった人事院は、労働基本権制約の代償機関としての役割を自ら放棄したものと指摘せざるを得ない。

▼高齢職員の給与ねらい打ち

 2012年度人勧の第2の問題点は、55歳を超える職員の原則、昇給停止をはじめ、50歳台後半層の給与水準抑制のため、昇給・昇格制度の「見直し」を打ち出したことである。年齢のみに着目した賃金差別であり、職場の中心を担っている高齢層職員の給与をねらい打ちするばかりか、若年層を含め職員の士気に悪影響を及ぼすものであり容認できない。

 さらに、高齢層の給与を削減し、その原資を若年層に配分するとしているが、給与構造改革で給与水準を引き下げたことに目をつぶり、職員の分断を図るものである。初任給をはじめとした独自の改善こそが求められる。

▼消費税増税法案の「地ならし」

 2012年度人勧に先立つ7日に閣議決定が行われた、国家公務員の退職手当の大幅削減も重大である。十分な労使協議と合意も無いままに、消費税増税法案採決の「地ならし」を目的とした拙速な閣議決定は容認できない。退職給付における官民較差402万6千円の全額を3段階に分けて、今年度退職者も含めて退職手当の引き下げにより解消するとしたことは、人生設計にも極めて大きい影響を与えるとともに、将来への不安を職員に与え、若年層も含めてすべての職員の士気に悪影響を及ぼすものだ。また、閣議決定の中で、地方公務員の退職手当についても言及している点は重大だ。

▼生活改善へ職場・地域から奮闘

 2012年度人勧では、勤務条件について、超過勤務の縮減、男性の育児休業取得の促進などが打ち出された。これらの課題は、いずれも極めて重要なものであり、そのための具体的な方策を打ち出すことが、人事院には求められている。

 府職労連は、不当な「据え置き勧告」が出されたもとで、府人事委員会に対して、①マイナス勧告を行わないこと、②高齢職員の給与水準抑制の「見直し」を打ち出さないこと、③生活改善につながる勧告を行うこと等を求めるものである。また、退職手当の引き下げが行われないよう、広く世論に訴えてたたかいを強めていくものである。

 さらに、職員間の給与格差を拡大する新たな人事評価制度を許さず、府民のために団結して働き続けることのできる勤務条件の確保、府民のくらしと地域の再生、震災復興、原発から自然・再生可能エネルギーへの転換、平和・核兵器廃絶などをめざして、仲間を増やし組合員のみなさんと力を合わせて奮闘するものである。