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府職労ニュース



2011年10月11日

くらし・地域の再生を最重点に
いま京都府政に求められるもの

府職労連自治研推進委事務局長の基調報告(要旨)

 9月17日、社会福祉会館において、「震災・原発・暮らし…これからの京都府政と自治体労働者に問われるもの」をテーマに第27回府職労連自治研集会が、職場内外から100名を超える参加で開催されました。記念講演では平岡和久さん(立命館大学政策科学部教授)が、震災を契機として自治体の広域再編や漁業特区構想など、被災地の実態や意向を無視した復興策が議論される中で住民本位の復興の道筋と、その中で果たすべき自治体の役割について講演しました。

 府職労連自治研推進委員会事務局長が基調報告を行いました。午後からは、5つの分科会に分かれて活発な報告と意見交換が行われました。府職労連自治研推進委員会事務局長の基調報告から府政に直接係わる部分の要旨を紹介します。

▼東日本大震災原発事故から見えてくるもの

 3期目を迎えた山田知事は全国知事会長として、地域主権改革や関西広域連合・道州制にむけ、国からの権限移譲、広域行政の推進など積極的対応をとっています。同時に関西広域連合では国出先機関対策委員会の副委員長として国機関の移管を推進する一方で、府政では課税事務の共同化に続き、国民健康保険の一元化を押し進めようとしています。

 山田知事は「地域主権の一番の基本は、住民ができることは自分ですることです」「関西広域連合についてもEU型を作っていって、そこで実績を積み重ねれば次の世界というのはおのずと見えてきます」と述べています。

 しかし、いま求められているのは、東日本大震災の復興支援や原発事故、アメリカ経済の危機を背景とする急速な円高などのもとで、暮らしと地域の再生を図る府政の役割ではないでしょうか。

▼「脱原発」に踏み出せない府政

 原発対策では、関西電力高浜原発の再稼働に対する福井県知事の再開を認めない発言を山田知事が支持し、「再開を認めない」と表明、福井県と同等の安全協定締結を関西電力に要請しましたが、原子力発電所それ自体を無くすのではなく、「縮原発」という立場に留まっています。

 また福島第一原発の事故を契機に停止中の原発の運転再開が困難なもとで、今夏の関西における電力供給が逼迫するとして、関西広域連合が5―10%の節電に取り組むことを決め、京都府の節電対策が提案されました。

 この中で実施された昼休みシフトが、ピークカット対策としてどれほどの効果があるのかを科学的に十分見通せないなかで、長年定着した昼休み休憩時間を変更したことは、労働条件や府民サービスの低下、混乱につながるものであり、公務職場になじまないものでした。

▼時代認識に欠ける「明日の京都」

 京都府は、これまでの総合計画に代わる長期計画「明日の京都」を2010年11月議会で策定し、今年1月からスタートさせました。「長期ビジョン」では、現状を「経済・社会のグローバル化が進む中で、格差の拡大や貧困、地域コミュニティの崩壊の危機など、時代の変化に対応し切れない様々な課題が生じて」いると規定しています。

 しかし、これらは新自由主義的・構造改革路線によってもたらされたものであり、「すべての地域が将来の希望に輝く京都」の実現には、構造改革路線と決別し、ナショナルミニマムや地域循環型経済を実現させていく方向が不可欠です。この時代認識の不十分さゆえ、たとえば、「中期計画」では基本方向として、「府民安心の再構築」「地域共生の実現」「京都力の発揮」の3点を挙げながら、「働きの安心」では、「変形労働時間制度、フレックスタイム制度、事業場外労働のみなし労働時間制、裁量労働制など、多様な働き方を導入している企業の割合を平成21年度18・1%から27%に」と数値目標を掲げて、問題の多い制度の導入を推進する一方で、全国最悪といわれる非正規労働者の実態に目を背けたものとなっています。
 
▼住民自治をゆがめる動きにNOを

 東日本大震災の被災地では献身的に奮闘する自治体職員の姿が報道もされる中で、改めて身近な自治体の重要性が浮き彫りになっています。府政が府民の暮らしを守る活動に積極的な役割を果たしていくために、現場で働く私たち自身が原発問題や再生可能エネルギー、地域包括ケア、公契約のあり方など府政の主要な課題について調べ、学び、発信していくことが求められているのではないでしょうか。広範な府民と手を結びながら、「地域主権改革」や「関西広域連合」など住民自治をゆがめる動きに「地域住民主権」を対置し、新たな地方自治を創り発展させていきましょう。