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府職労ニュース


2011年 4月 1日

子宮頸がん予防対策や私学助成の拡大など府民要求前進 
2011年度 京都府当初予算の特徴

「給与費プログラム」で1300人の職員削減

 2011年度京都府当初予算案が2月定例府議会で可決されました。私立高校授業料の実質無料化、子宮頸がん予防ワクチンなどの補助など府民要求が前進した反面、「給与費プログラム」による人員削減など職員に犠牲を強いる中身になっています。府予算の特徴を中村知彦府職労自治研推進委員会事務局長に聞きました。

 1月26日、2011年度当初予算案を発表されました。予算総額は過去最高の8878億4100万円となり、「〝明日の京都〟幕開け予算」として、「京都式地域包括ケア」「公共再生プロジェクト」「京力中小企業100億円事業」を3大重点施策としています。
 また「府民安心の再構築」「地域共生の実現」「京都力の発揮」が3つの柱とされています。11年度予算の特徴を2回に分けて紹介します。

私立高校の無償化を500万円未満に拡充

 この中では私立高校授業料実質無償化が年収350万円未満から500万円未満世帯への拡充、子宮頸がん予防ワクチンなどの接種助成など府民要求が前進した一方で、住宅改修助成制度の創設、こどもの医療費無料化制度の拡充などは実現しませんでした。
 歳入の特徴として、①法人事業税が全国比較で伸びていないこと、②地方交付税は、対前年度比114・9%と増加したものの、臨時財政対策債は146億円の減で総額は、247・9億円にとどまっていること、③国基金の繰入金が、379・3億円と対前年度比158・7%と大きく伸びたこと④商工預託金が120億円減と規模を縮小したことなどが挙げられます。

人件費削減62億円など148億円の「改革」

 歳出は、民生費(京都式地域包括ケア推進費など)、衛生費(子宮頸がん予防ワクチン等接種促進助成事業費)が大きく伸びた一方で、土木費(直轄事業負担金の減)が減少しました。また、「給与費プログラム」は今年度で終了するにもかかわらず、99人の職員削減を含む人件費削減62億円、事業見直し65億円、業務見直し17億円など総額148億円の「改革」が盛り込まれました。

特養待機5000人の実態に程遠い建設計画

 京都式地域包括ケア~地域に暮らす高齢者対策充実に向けての大きな一歩だが、医療提供体制、特養待機者解消などの課題も多い地域における医療、介護、福祉サービスの一体的推進で、高齢者が安心して暮らせる「あんしん社会」を構築するためとしています。
 市町村への地域包括ケア総合交付金の創設(36・5億円)、地域包括ケア推進機構の設置(1・8億円)、人材確保・育成(7・9億円)、基盤整備(10・3億円)、総合リハビリテーション充実(1・7億円)など、総額58・2億円が計上されています。

 事業の実施主体は市町村といえ、医療、介護、福祉サービスの一体的提供、とりわけ複数かかりつけ医や支援病院、認知症対策強化などの地域医療サービス提供体制には、医師・看護師不足が深刻な中、京都府の果たす役割が問われます。
 事業のほとんどが在宅の高齢者を想定したものとなっており、特養の新設増設はわずか140人分と、5000人を超える特養待機者の願いにはこたえられていません。
 また、総合リハビリテーション充実は高齢者向けのものになっており、障がい者(児)向け対策の遅れが懸念されます。予算総額の8割以上に、来年度もしくは再来年度限りの基金を充てていることにも問題が残ります。


中小零細企業の実態を行政が把握してこそ ~京力中小企業100億円事業費

 2010年から4カ年で中小企業支援へ100億円規模の予算投入が予定されており、2年目の今年度予算は32億円となっています。商工会、商工会議所等と連携し、経営改善、設備投資支援に入る「中小企業応援隊」事業(1000万円)では府内12万社の1/4にあたる3万社規模となっています。行政が企業実態を把握して的確な中小零細企業支援対策に役立てていく必要があります。

 また中小企業技術開発促進事業費(8・01億円)では一部の元気な企業のみが結果として対象となるのではなく、要件とされている「イノベーション創出」を柔軟に適用し、中小零細企業が仕事を確保していくための加工技術のレベルアップなども対象としていくことが求められます。

 京都企業設備投資等支援事業(11・5億円)では中小企業の設備投資に15%以内、30万円以上2億円以下で「経営成長計画」を立て、審査の上、補助されます。これもイノベーションへの取り組みとしている要件を柔軟に適用することで積極的な活用が可能となるものです。

行政の責任は明確か? ~公共再生プロジェクト

 地域力再生支援事業(7500万円)として住民団体や住民の交流・マッチングを行う「協働コーディネーター」を設置するNPOパートナーシップセンターの拡充やNPOがNPOを支援・育成するしくみづくり、地域住民が行政と協定締結して道路、河川整備などを行う公共空間活用推進事業(地域普請)(9100万円)が盛り込まれています。

 街づくりに住民が参加することは住民自治の観点からも当然のことですが、一方で行政の責任をあいまいにしてはなりません。その点から地域普請事業では河川整備を行なう場合でも安全確保など技術面からのチェックや助言を担当部局からの参加も得て行政の責任として行っていく必要があります。

職場の疲弊をどうするか ~人件費削減

 当初予算の歳出では「府民満足最大化プラン」の取り組みで「総額148億円の改革」として人件費削減が真っ先に挙げられており、職員数99人の削減、給与構造改革による昇給フラット化の反映や、諸手当の見直しで62億円削減。

 給与費プログラムによる人員削減で当局自身も職場が疲弊したと認めざるを得ない状況の中でのさらなる削減です。この問題では2011年度の国の地方財政計画で給与関係経費が実質5000億円削減され、一般職員26761人の減員を見込んでいることが背景としてあります。京都府として国へ財源措置を取るよう求めていくべき問題です。また内部管理経費の抑制として外郭団体、指定管理者への予算削減、公営企業会計が17億円見込まれています。あらためて指定管理者制度の妥当性を検証していく必要があります。