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府職労ニュース


2011年 6月16日

年収60万円超減額の職員も/生活はズタズタ 
 「震災復興」に名を借りた公務員賃下げは許さない

人事院総裁・参院議長も反対

 6月3日に閣議決定された国家公務員給与の1割削減特例法案。国会をとりまく情勢、そして今後の地方への波及も不透明ですが、「震災復興」を名目にした今回の賃下げ提案は、「震災復興」に全力をあげる公務労働者の生活を破壊する、とんでもない代物です。

 この賃下げを私たちにあてはめたらどうなるのか?ある40歳職員(行政職給料表3級61号給、京都市内在住)でシミュレーションしてみると。

 3級の場合、月例給は8%マイナスのため月額で△2万8610円、年間で△34万3324円。一時金に至っては、一律10%マイナスのため年間△14万6073円。月例給と一時金をあわせた年間給与はなんと△48万9397円になります。住宅ローンが払えない!子どもの教育費をどうしよう!たちまち、私たちの生活を直撃することは間違いありません。

 このシミュレーション、ある新規採用職員の場合、月例給5%マイナス・一時金10%マイナスで年間給与は△19万2748円。ある59歳職員の場合、月例給8%マイナス・一時金10%マイナスで年間給与は△65万1908円。
 私たちの生活設計を根底から破壊する大幅賃下げが強行されたら、民間労働者に波及し、経済にも大きな悪影響を及ぼすことは間違いありません。

公務・公共サービスの拡充こそ

 今回の賃下げについて青山学院大学の榊原教授は「日本の国家公務員数は人口千人あたり12・6人とイギリスやフランスの4分の1。公務員の人件費も対GDP比でOECD諸国中で最低の6%と、アメリカやイギリスに比べて2分の1程度。このうえ公務員の人件費を削減する必要が本当にあるのでしょうか」(朝日新聞6/7)と述べています。
 京都府からも、すでに700人を超える職員が被災地に派遣され、避難所の運営や健康相談など、まさに公務労働者は、住民の命とくらしを守るために奮闘しています。賃金引き下げではなく、公務・公共サービスの拡充に向けて、公務労働者を増やすことこそ求められているのではないでしょうか。

ねらいは消費税増税などの国民犠牲

 もう1つの重大な問題は、人事院勧告を受けて給与法を改正するという「給与決定のルール」に沿っていないということです。賃下げ法案の閣議決定を受けて、人事院総裁は6月3日「遺憾と言わざるを得ない」と異例の談話を発表しました。さらに、西岡武夫参院議長は、「人事院を納得させる努力をするべきだ。それを無視した法案提出は法的な問題があり反対だ」と述べ、現状では参院での審議を認めない考えを示しています。人事院、参院議長すら納得できない悪法を通すわけにはいきません。
 給与決定のルールを踏みにじり、公務労働者の生活を破壊する今回の公務員賃下げ法案。その真のねらいは消費税増税に道を開くものであるということ、「震災復興」に名を借りた構造改革の本質を広く明らかにすることが必要です。