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府職労ニュース


2011年 5月13日

震災復興の財源に公務員賃金の1割引き下げ 
復興は国民犠牲の上には成り立たない

府職労が知事へ申し入れ

 未曾有の大震災の復興を名目に、消費税増税、TPP、道州制などの悪政を一挙に進めようとする動きが急です。財界の意向を受けた政府・与党がその露払いと位置付けるのが「国家公務員給与1割下げ」です。 「国家公務員給与1割下げ」「政府提示3000億円、復興財源に」「人勧前、異例の労使協議」(4/30付け「日経」)。同日の1面トップに踊った見出しです。「人事院勧告を経ずに給与改定が行われれば、1948年の人事院発足以来初めて」(4月30日付け「読売」夕刊)との記事も。

 4月30日に行われた定例記者会見の場で枝野官房長官は「具体的な引下げ内容を政府内で検討している」と述べ、5月連休明けに組合側へ提示していく方向を示唆しました。

●消費税増税、TPP、道州制…

 民主党の「復興ビジョンチーム」は4月28日に素案を発表。「復興」を名目に法人税減税や消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)、「道州制」などを推進する狙いを明らかにし、6月中に最終案をとりまとめ、政府に提言する方針です。

 日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体は復興構想会議で「東北地方を道州制の先行モデルに」「規制緩和の推進」「農地の大規模化と法人経営の推進」など、大胆な構造改革を求めました。また、復興財源について「消費税増税もやむを得ない」と主張。アメリカの経済戦略に日本を組み込むTPPの推進も求めました。

 これら一連の動きに共通しているのは、国民の批判を受けて停滞を余儀なくされてきた「構造改革」を、未曾有の大震災をテコに一気に進めようとの狙いです。
 しかし、「構造改革」のもとですすめられた市町村合併や公的医療機関や保健所等の統廃合、公務員の削減が、東日本大震災の被災者救援や復興支援に大きな困難をもたらしています。こうした政治のあり方の転換こそが求められています。

●被災地の復興にも逆行

 「『どさくさ紛れ』現象にも警戒が必要である。すでに『復興構想会議』では、復興税という名目で、消費税の増税が示唆されている。『復興に要する経費は国民全体で負担する』という建前だが、なぜ消費税でなければならないのか。合理的説明はない」。これは5月3日付け京都新聞に掲載された水島朝穂・早大教授の寄稿「憲法から考える震災」の一節です。

 復興構想会議で達増拓也・岩手県知事は「新たな税負担には反対。経済の地盤沈下を招くようなやり方はやめるべきだ。被災地はもとより、全体の消費を低迷させない復興策を進めてほしい」と発言。「広域化を目指した『市町村合併』をしたところでは末端まで支援が行き届きません。自治体の力がそがれてきたツケのあらわれです」(宮城県山元町・元町長・森久一さん/5月1日付け「しんぶん赤旗」)との声が聞かれます。

●国民犠牲は許さない

 自治労連も加わる公務労組連絡会は、政府・総務省に対し、「人勧制度のもとでの政府による賃下げは法的にも正当性はない。公務員人件費削減の方針の速やかな撤回を強く求める」と厳しく批判しました。

 府職労連は5月9日に知事あての申入書(「東日本大震災復興を名目にした消費税増税や公務員給与の引き下げを行わないよう求める申入書」)を提出。公務員人件費削減は、震災復興に向けた自治体労働者の熱意とエネルギーに水を差すものであり、消費税増税とともに先行きの見えない日本経済にさらなる悪影響を与えるものと指摘しました。

 そして、今こそ政治と財政のあり方を転換し、法人税減税の見直し、復興国債への大企業の内部留保の活用、米軍への思いやり予算や政党助成金の見直しなど国民本位、被災地本位の復興を行うよう政府に働きかけることを求めました。