京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化
府職労ニュース



2011年11月 4日

マイナス改定せず
持ち家の住宅手当廃止を勧告―京都府人事委員会勧告

現給保障廃止は勧告で触れず

 京都府人事委員会は、10月31日、「職員の給与等に関する報告及び勧告」を行った。その内容は、①月例給における民間との較差▲782円を解消するため、持家住居手当を来年度に廃止(ただし、年度内は700円に引下げ支給)、②過去の昇給抑制の1号給を回復、③期末・勤勉手当は据え置き、④給料表のマイナス改定見送り、⑤現給保障について来年度廃止は勧告せず検討課題にとどめるーという内容である。賃金引き上げ勧告をとの職員の願いにもかかわらず、これに応えず、持家住居手当を廃止するとしたことは許されない。一方でマイナス改定をせず、過去の昇給抑制の1号給回復を勧告したこと、現給保障の来年度廃止を勧告しなかったことは、この間の府職労連の要求とたたかいを踏まえたものである。

■ 給料表のマイナス改定は実施せず

 公民較差を▲0.19%(管理職給与カットがない場合)とし、持家住居手当を廃止したことは、春闘の賃上げ状況など民間実態に合わないだけでなく、最低賃金引き上げという賃金底上げの流れに水を差すものである。
 同時に、国や他府県の多くが給料表のマイナス改定を勧告している中で、マイナスの改定を行わなかったことは、たたかいの反映である。
 期末・勤勉手当については民間の年間支給月数
が3.97月で、府職員の3.95月とおおむね均衡しており、据え置きとしたことは、引き上げへの期待を大きく裏切るものである。

■ 持家手当廃止は許されない

 持家に係る住居手当について、昨年の不当な「廃止予告勧告」を既定の方針として廃止としたことは、持ち家比率が国家公務員よりも高く、多くの職員が住宅ローンを抱えている実態や地公法で定められた「生計費」原則を無視したものであり、許されない。

■ たたかい反映し全職員に

 昇給1号回復実質較差がプラスであるとして遡っての「減額調整」を行わなかったこと、そして「給与構造改革」の実施に当たり、平成18年度から4年間にわたり昇給を毎年度1号給抑制してきた4号給分のうち、1号給ではあるが平成21年1月分の該当者全員を回復するとしたことは、超勤手当や期末・勤勉手当、退職手当にも反映するもので、国や他府県の多くが高年齢層への給与削減を強めているもとで、私たちの要求を踏まえたものとして評価できる。

■ 現給保障来年度廃止は勧告せず

 平成18年度から実施した「給与構造改革」に伴う経過措置(いわゆる「現給保障」)について「廃止に向け検討を進める必要がある」としたものの、今回、国に追随した廃止の勧告ではなく検討課題にとどめたことは京都府職員の実態や私たちの要求を踏まえたものとして一定、評価できる。

■ 勤務条件改善に言及

 総実勤務時間の短縮、健康の保持増進、仕事と育児・介護等の両立などの勤務条件については、いずれも「必ずしも十分な成果が得られているとまではいえない状況」とした。総実勤務時間については「全体として増加が見られる」として、その短縮に向けて「より実効性のあるものとすることが求められる」と述べた。

 健康の保持増進については、昨年度に相次いだ職員の自殺による死亡事例に言及し、職場のメンタルヘルス対策のさらなる徹底と、明るく活力のある職場づくりを進めるために管理職員の役割の大きさを強調した。

 仕事と育児・介護等の両立についても、管理職員の役割の大きさを強調するとともに、短期間の育児休業取得者の期末手当支給割合見直しへ適切に対応するとしている。

 非常勤職員の勤務条件については引き続き適切な処遇の確保に努める必要があるとした。
 これらは、私たち職員の生活と仕事をめぐる実態を踏まえて、その改善を求めてきたものであり、府当局はこの内容を真摯に受け止めて、改善に向け努力することが求められている。

■ 国の賃下げ法案は憲法違反

 知事は国に意見表明を野田内閣は10月28日、国家公務員給与を平均で7.8%引き下げる給与臨時特例法案(賃下げ法案)が国会提出されていることを理由に、その早期成立をめざすとして、2011年勧告の見送りを閣議決定した。

 1982年の「人勧凍結」以来となる勧告実施の見送りは、公務労働者の労働基本権制約の「代償措置」である勧告制度を踏みにじる憲法違反の暴挙であり、けっして許されるものではない。

 また、すでに財務省が義務教育費国庫負担金削減の検討をはじめたとの報道にもあるように、国家公務員の賃下げは、地方公務員、教職員、独立行政法人職員などにも波及し、民間をふくめたすべての労働者の賃金に影響を与え、消費と地域経済を冷え込ませることにつながるものであり、その点からも容認できるものではない。

 全国知事会の会長でもある京都府の山田知事は、ただちに政府に対し、憲法違反の勧告実施の見送りに抗議の意思を表明するとともに、財務省などが検討をはじめたとする地方交付税や義務教育費国庫負担金削減の動きに反対の意見を表明すべきである。

■ 年末確定闘争に全力をあげよう

 私たち府職労連は、この間、京都府人事委員会に対し、要求署名や交渉、学習会など職場からのたたかいとともに、官民共同のたたかいをすすめてきた。

 府職労連は引き続き、府庁に働く全ての労働者の要求前進をめざして、年末確定闘争に全力をあげるとともに、地方自治の本旨が生きる働きがいのある京都府政の確立に向け奮闘するものである。