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府職労ニュース



2011年 9月20日

拭い切れない放射能への不安
福島から京都に避難しているお宅を訪問

避難者の不安解消、支援の強化必要

 福島第1原発の事故後、福島県から家族で避難して来られ、現在、宇治市内に避難しておられる家族を訪ねました。夫妻から、放射能への不安の声が寄せられたことがきっかけでした。

▼「せっかく京都まで来たのに…」

 「0.16マイクロシーベルト/時」。その数字を聞いた時、夫妻は凍り付いたといいます。知り合いが個人で購入した線量計を使い、近所にある公園の木の下で計測した1時間当たりの空気中の放射線量が想定していたよりも一桁高い数値だったからです。「東京電力福島第1原発の事故が起こり、小さな子ども達のためには『もう、福島には住めない』と決心して、向こうの生活をやめて遠く京都まで来たのに…」。落胆と不安は大きなものでした。

 一家が福島県・須賀川市から京都に避難されたのは3月。まず、お母さんと子ども達3人(中2、小4、年長)が京都に。おとうさんは悩んだあげく、福島県内での仕事を辞め、京都府内の事業所に幸い就職が決まり、8月に合流しました。お母さんも9月から近所の保育園で働くことが決まり、新天地での生活が本格的に始まろうとしていた矢先の〝新たな不安〟でした。

▼「小雨の中、屋外は危険か?」

 一緒に訪れた診療放射線技師▽「0.16マイクロシーベルト/時」は宇治市内では想定できない数値であること、▽宇治市も含めて京都府内の土壌は〝汚染〟されていないこと、▽宇治市も含めて京都府内では、安心して子ども達を屋外で遊ばせてもいい放射線レベルにあること、▽一方で現在、府では線量計の貸し出しは行っていないことーなどを説明しました。 夫妻の不安を訴えます。「よく福島県と京都府を車で往復するが、車に付着する放射線の影響は?」「近隣の幼稚園では、小雨程度なら屋外の園庭で園児を遊ばせているが大丈夫か?」「茨城県からの避難者が『最近、福島第1原発事故の直後と同様に喉の違和感を感じる』と訴えているが、理由は何か?」放射能に対する不安が伝わってきます。さらに「今のところにいつまで住み続けられるのか?」。

▼行政として求められること 

 最近の身の回りのことも話してくれました。▽夏休み期間中に、被災地から避難してきた小学生が同じ住宅で6人も増えたこと、▽職員住宅で行われた夏祭りが子どもが主役の企画で、子ども達が大喜びだったこと、▽長女の高校受験に当たっての地域の進学状況のことーなどです。

 今回、訪問させていただいたのはこのお宅だけでしたが、改めて浮き彫りになったことは、特に小さな子どもさんを連れて避難して来られたみなさんは放射能への不安が極めて高く、その不安は被災地から遠く離れた京都にあってもけっして小さくはならないということです。

 福島県を中心に700名を超えるみなさんが京都府内に避難されているもとで、行政としての避難者への日常的な情報発信はもちろんのこと、放射能から日常生活に到るまでの幅広の相談体制を強めることが必要です。