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府職労ニュース


2009年 7月 1日

「公務技術の危機と展望」を考える
 京都でシンポジウム開催

力量蓄積と信頼回復の時

 6月20日、平安会館でシンポジウム「公務技術の危機と展望」(府職労連、国交省全建労、国土研、建設政策研究所共催)が行われ、満席の160人余が参加、熱心な報告と討論が行われ大盛況でした。

 まずコーディネーターの片寄俊秀大阪人間科学大学教授からシンポを企画した意図の説明がありました。耐震偽装や公共事業の荒廃など、「公務技術の危機」に直面しているとの問題意識で、中川学氏(府職労綴喜支部/国土研)と共著で出版した。その問題意識を深めたい、というものです。このシンポの特徴と魅力は、公共事業を批判してきたそうそうたる論者と、公共事業を担ってきた公務技術者が同席し議論するということにありました。

 やはり外部の論者からは厳しい行政批判が相次ぎました。「行政内部からの改革は期待できない、解体しかない」(五十嵐敬喜弁護士)、「明白な税金の無駄遣い批判に対しても結論を一切変えようとしない、期待できるものがない」(吉原稔弁護士)など。
 また、コンサル技術者として川づくりに関わってきた山道省三さんからも行政技術者の力量批判も。またフロアからは「役所に技術者は要らない」という極論も出されるなどでした。

 一方、元国交省官僚の宮本博司氏は「かつて霞ヶ関では情報を出すなと言われたのは事実、しかし物言わないのは情けない、家族に胸張って言える仕事を」ときっぱり、中川氏は「住民への翻訳など、住民の立場に立つ技術者が必須」、増渕昌利氏は神戸市職員として違反建築ゼロを達成した実績を背景に「違反建築をなくせるのは力量ある公務技術者、今も国交省の研修講師で頑張っている、技術力向上委員会など明るい話題もある」など、決して悲観的な状況ばかりではない議論も出されました。

 また元都議会議員の青木菜知子氏は一般市民の立場から、「普通の市民は役所を信頼しているもの、それに応える力量を持った技術者が是非とも必要」など、それぞれに公務技術者の力量と信頼回復が重要との認識が示されました。

 同時に「技術者減らしのなかで忙しすぎて自由に語り合える雰囲気がなく、危機的な状況にあるのは事実」と、厳しい職場実態も明らかにされました。
 参加者の約半数が公務員か関係者とあって、どれも切実な問題、熱心な議論のなかで閉会を惜しみつつ幕を閉じました。シンポの続編が期待されます。


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