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府職労ニュース


2009年 5月25日

「公務技術の危機と展望」
 6月20日にシンポジウム

市民の暮らしやまちづくりに直結

 国土研究会や全建労、京都府職労などが主催し、6月20日(土)に「公務技術の危機と展望」のテーマでシンポジウムを開催します。
 「公務技術」とは、市民の暮らしやまちづくりを支える、主として土木、建築、造園などの技術を総称し、公共事業や安全な国土づくりに関わる技術という意味合いで使っています。もちろん公務員だけを対象としているわけではありません。その「公務技術」が、最近とみにおかしくなってきているのではないかという疑問と危機感を抱いたことが、本シンポジウムを企画した動機です。

 典型的な事例が「耐震偽装」です。「厳正な審査」に安心しきっていた市民を恐怖のどん底に突き落としたのは、幼稚な手法にも関わらず偽装を見抜けなかったという、建築審査の現場における心許ない公務技術の現状が背景にあったと思われます。いま一つの典型例は、依然として後を絶たない「ムダな公共事業」を、ごり押しで推進するために、技術が政治力によって支配され、ゆがめられている現状です。本来は流域全体で考えるべき治水の問題を、「ダムありき」の姿勢で矮小化し、データを都合良く解釈して使用するなど、「公務技術」の荒廃は目を覆いたくなるほどです。

 加えて深刻な問題として、公務技術者たちの「技術力低下」の問題を指摘しなければなりません。なかでも公務員技術者の場合は、人員削減と技術業務のアウトソーシングのために、自らを鍛えるチャンスが極端に少なくなっており、その実態は深刻です。また当然の結果として、技術業務を請け負う側のコンサルタントやゼネコンの技術者も、同様の問題を抱えています。

 言うまでもなく公務技術の危機は、まちづくりの危機であり、安全で暮らしよい美しい国土づくりの危機に直結すると思われます。どうすればこの危機を克服することができるのか。展望はどこにあるのか。考え合うためシンポジウムを計画しています。

●問題提起
 ・「ミネルヴァのふくろうは夕暮れに飛立つ」はコロンブスの卵であった:吉原 稔(国土研理事/弁護士)
・公務技術者の力量回復は可能か:中川 学(国土研事務局長/技術士)
●パネルディスカッション
・コーディネーター 
片寄俊秀(国土研副理事長/大阪人間科学大学教授/技術士/一級建築士)
・パネラー
 五十嵐敬喜(法政大学教授/弁護士):ムダな公共事業と美しい都市づくりと技術の問題など
 宮本博司(土木をバックグラウンドとする、前淀川流域委員会委員長):国の公務技術者の役割
 増渕昌利(建築をバックグラウンドとする、元神戸市違反対策室長):「違反建築ゼロ」への挑戦
 山道省三(公共緑地をバックグラウンドとする、ドウ・タンク主宰):全国の水環境回復と市民の動向
 青木菜知子(出版編集者):市民の視点からみた求められる公務技術者像
 時・6月30日(土)13時30分
 ところ・平安会館
 


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