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官庁速報


2009年 8月 5日

 内部組織の共同設置可能に
自治法改正に向け研究会−総務省

 総務省は、合併を選択しない基礎的自治体の機能強化策として、複数の市町村間で「課」や事務局といった内部組織の共同設置を可能にするための検討を始めた。政府の第29次地方制度調査会が6月にまとめた答申を受け、「地方公共団体における事務共同処理の改革に関する研究会」を設置。共同処理方式による広域連携の現状や課題を分析し、12月に報告書を取りまとめた上で、2010年の通常国会に地方自治法改正案を提出する方向だ。

 地方自治法は、自治体間の事務の共同処理制度として、一部事務組合や広域連合といった別法人を設立する方式や、法人設立を必要としない▽協議会▽機関等の共同設置▽事務の委託―を規定している。このうち、複数の自治体が委員会や委員、執行機関の付属機関などを共同で設置できる「機関等の共同設置」方式は、簡便な制度にもかかわらず設置件数は08年7月時点で407件にとどまる。内訳は介護保険認定審査142件、公平委員会116件、障害区分認定審査108件など。

 地制調答申は、平成の大合併を一区切りとし、今後は自主的な合併を選ばない小規模な市町村が残ることを念頭に「広域連携や都道府県による補完などの多様な選択肢」を用意するよう求めている。このうち広域連携の一つの形態である「機関等の共同設置」について、「内部組織、事務局および行政機関についても共同設置が進められるよう、制度改正を含めた検討を行うことが適当」とした。

 このため研究会では、「機関等の共同設置」方式をめぐり、活用事例が少ない理由や今後のニーズを分析しながら、共同設置できる範囲を内部組織や事務局などに拡大することを検討。専門性が高く政策判断の余地が比較的少ない分野での活用が想定されており、例えば複数の市町村が一つの会計課を設けたり、県と市が保健所を共同で設置したりするケースや、地制調答申が力点を置いた「監査機能の充実強化」に向け、監査委員事務局の共同設置も念頭に置く。その際、人件費節減などによる行政運営の効率化と、行政サービスの向上をどう両立させるかが課題だ。

 このほか、「機動的な意思決定が難しい」「構成団体の意見の反映が不十分」といった一部事務組合制度などの課題への対応も検討。事務委託制度についても、委託元が委託先に意見を出しにくいという問題意識に立って制度改正を図る。地制調答申は事務委託について、「委託団体が事務処理の状況を把握し、受託団体に意見を提出しやすくなるよう、制度改正を含めた検討を行うことが適当」としていた。

 研究会の座長は、辻琢也一橋大大学院法学研究科教授。他のメンバーは次の通り。

 ▽磯部哲・独協大法学部准教授▽入江容子・愛知大法学部准教授▽甲斐朋香・松山大法学部准教授▽勝賀瀬淳・高知県分権広域行政課長▽高田修・長野県飯田市財政課長▽土山希美枝・龍谷大法学部准教授▽出口裕明・神奈川大法学部教授▽東方俊一郎・石川県代表監査委員▽村上孝浩・埼玉県志木市秘書広報課長(前政策推進課長)


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