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官庁速報


2009年 8月31日

 「土砂災害緊急警戒区域」を設定
天然ダムなどへの対策強化−国土交通省

 国土交通省は、崩落した土砂が河川をせき止めてできる「天然ダム」(河道閉塞=へいそく=)の決壊や、火山活動に伴う土石流をはじめ、特殊な土砂災害について対策を強化する。土砂災害時の対策を定めている現行の土砂法は、がけ崩れなど発生度の高いタイプを想定しているが、昨年の岩手・宮城内陸地震などでは天然ダムが相次いで出現したことを踏まえた。このほど設置した検討会では、新たに「土砂災害緊急警戒区域」(仮称)を設け、都道府県のほか国も指定できる仕組みなどが浮上しており、秋にも提言がまとまる予定。同省はこれを受けての土砂法改正も視野に入れている。

 現行の土砂法は都道府県などに対し、土砂災害の恐れのある個所をあらかじめ調査して「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」に指定するよう要請。同時に、地元各市町村に対して警戒区域内における災害情報の伝達方法を定め、発生時は住民への避難指示をするといった防災体制を整備するよう求めている。

 しかし、現行法が想定しているのは、がけ崩れや土石流、地滑りのような比較的発生頻度の高い土砂災害。天然ダムの決壊や火山活動が引き起こす土石流など特殊なタイプの土砂災害は、▽事前に被害を予測することが困難▽天然ダム発生後や火山噴火後に緊急に危険度を判定しなければならない▽危険個所の調査や監視に必要とされる高度な技術を都道府県が持っていない場合が多い−といった理由から、現行の枠組みでは対応が難しいという。

 検討会では、現行の警戒区域に加え、特殊な土砂災害に備えた「土砂災害緊急警戒区域」を改正法上定める方針。同区域については、ヘリコプターによるなど高度な技術を要する調査や、危険度の判定について国の関与を明確化する。緊急時には、都道府県だけでなく国も警戒区域を指定できるようにし、指定を受けた市町村が速やかに警戒体制を敷くよう規定するなど、国・都道府県・市町村それぞれの対応方針を法制面から整備する考えだ。

 特殊な土砂災害への対応では現在も実際上、都道府県からの要請を受けて国が調査を支援するケースが多いが、要請を受けてから都道府県に調査結果を報告するまでに時間がかかることがあり、国の果たす役割も不明確。また、事前に被害の規模や範囲が想定されていないため、市町村によってはどの範囲の住民にどの段階で避難指示を行うべきか適切に判断するのが難しい場合があり、課題とされていた。 


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