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官庁速報


2009年 5月28日

新技術でTEC−FORCEの活動強化
大災害時の初動対応を迅速化−国土交通省

 国土交通省が大規模自然災害時に派遣する緊急災害対策派遣隊(TEC−FORCE)について、初動対応の充実・強化を図る検討委員会(委員長・河田恵昭関西大教授)がこのほど提言をまとめた。天候に左右されずに観測が可能な合成開口レーダー(SAR)をはじめ、新たな技術の導入や被災自治体との連絡体制強化などを盛り込んだ。同省ではこれを受けて具体的な機材、システムの配備について検討に入り、必要なものから今年度概算要求に計上する方針。

 TEC−FORCEは、地震や水害といった大規模災害発生時に、被災状況の把握、二次災害の防止、社会基盤の早期復旧など迅速な対応を目的に、昨年5月に国交省が設置した部隊。昨年6月の岩手・宮城内陸地震などで被災地に派遣され、復旧に貢献した。

 しかし、夜間や悪天候時はヘリコプターによる調査が困難で、また山間部での活動中に隊員の携帯電話の電波が届かないなど、装備や機材の面で不備があった。また、被災自治体との間で被害状況の連絡体制が不十分で、被害の全体像が把握できないため、災害の規模に対して人員や機材に過不足が生じるケースもあり、初動対応の課題が指摘されていた。このため、国交省は新機材の導入を含め、迅速かつ効率的な初動対応の在り方について検討委員会を昨年11月に設置した。

 提言によると、的確に被災状況を把握するため、悪条件下でも観測可能なSARを状況に応じて人工衛星や航空機、ヘリコプターなどに搭載し、広域的に観測を行う。また、無人航空機や無人水中探査機などを用いて、二次災害の恐れのある場所の継続的な監視も行う。地上回線のない場所からでも情報を伝送できる衛星携帯電話や衛星通信車のほか、大容量のデータ送信が可能な光ファイバーネットワークも活用する。

 初動対応を迅速にするため体制の強化も図る。的確に被害状況を把握し被災自治体との連携を密にする目的で、地方整備局などの職員をリエゾン(自治体との間で情報交換や調整を行う役)として派遣。人員や機材の派遣規模を適正に見積もるため、被災自治体からの情報に加えて過去の出動時のデータベースを参考にする。また、普段は公園として利用し、災害発生時にTEC−FORCEの活動拠点となる前線基地をあらかじめ整備することなどを盛り込んだ。

 提言を受けた国交省は、TEC−FORCE隊員の育成や省内災害対策本部の機能強化も含め、総合的な災害対策を講じる考え。


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