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官庁速報


2009年 6月19日

自治体の各種基金 残高減、加速も
税収の落ち込み響き−自治体の基金・時事通信調べ

 時事通信社は、47都道府県と18政令市、県庁所在市、中核市(暫定予算の山口県下関市を除く)を対象に、2009年度当初時点の各種基金(財政調整、減債、特定目的)の積み立て・取り崩し状況を調査した。47都道府県の08年度末の各種基金残高総額は前年度比6.5%増の4兆3721億円の見込み。ただ、東京都の特定目的基金の積み増しが全体の数字を押し上げており、これを除く残高はマイナスになる。さらに、09年度末の見込みは08年度末比21.6%減の3兆4258億円と、残高の減少が加速しかねない状況だ。政令市など他の団体でも減少傾向が続いている。09年度は経済危機で税収が落ち込む一方、義務的経費の伸びや景気対策のためにプラス予算を組んだ団体が少なくない。財源不足を埋めようと基金の大幅取り崩しを迫られ、底を突く団体も増えている。

◇都を除けば2.8%減
 調査では、減債基金は満期一括償還分を除く残高、特定目的基金は自治体独自の判断で造成した基金に限って照会し、集計した。

 都道府県の基金別の08年度末残高は、▽財調基金8444億円(07年度末比0.5%増)▽減債基金8100億円(同8.0%減)▽特定目的基金2兆7178億円(同14.0%増)−の見込みだ。特定目的基金は3336億円増えているが、東京都が08年度中に「東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金」や「社会資本等整備基金」などを積み増し、都の特定目的基金だけで4126億円増えることが主な要因。都を除く46道府県では、08年度末の各種基金残高総額は07年度末比2.8%減となる見込みだ。さらに、09年度末の残高は08年度末に比べ28.9%減と大幅に減る可能性がある。

◇栃木、岐阜はゼロに
 都道府県の個別の状況を見ると、栃木は09年度当初で財調基金を54億円取り崩し、初めて同基金が底を突いた。税収が過去最大の落ち込みとなる中、経済対策に力を入れた予算を組むため、基金を崩さざるを得なかった。減債基金も当初予算編成後いったんゼロになり、08年度の3月補正で30億円積み戻したが、「ないに等しい」(財政課)。財源を確保するため、10年度から県政史上初めて一般職員の給与カット(5%)に踏み込む財政健全化案を検討している。

 岐阜も09年度当初で財調、減債両基金とも枯渇し、危機的な状況に陥っている。公債費の増加で財源不足が膨らみ、初めて実施した一般職員の給与カット(課長補佐4%、主査級以下3.5%)といった行革努力を行ってもなお足りない部分を補うため、全額を取り崩した。

 宮城もさまざまな歳出抑制策に取り組んできたが、財調基金をほぼ全額取り崩し、残高は1500万円と枯渇寸前だ。「絞っても何も出ない、乾いたぞうきんを絞る状態。これ以上行くと、県民生活に直結するサービスの低下になりかねない」(財政課)と危惧(きぐ)する。「構造的な財政難を解決しない限り、どの自治体も来年、再来年の予算が組めなくなる」とし、三位一体改革で減った地方交付税の増額とその財源を確保するための地方消費税拡充を訴えている。

 このほか、09年度当初の取り崩しにより、財調基金は群馬(6100万円)、神奈川(8600万円)、減債基金は三重(3300万円)で1億円を切った。

◇弾力化や繰り入れ運用も
 財源不足を補おうと、特定目的基金の設置条例を改正して使途を弾力化するケースや、基金から一時的に借り入れる繰り入れ運用を予定する県も。秋田は土地開発基金25億円のうち12億円を取り崩し、一般会計に繰り入れた。鳥取も09年度当初予算で、過去30年で最大の税収減が見込まれ、87億円の財源不足が生じたため、土地開発基金から初めて20億円を取り崩した。

 基金からの繰り入れ運用は、▽茨城(県債管理基金から190億円)▽愛媛(県有施設維持管理基金から82億円)▽愛知(5特定目的基金から計247億円)−などが実施を予定している。

 これらの団体は、年度途中の事務事業の効率化に伴う経費節減などによっては実際に繰り入れ運用を行わなくても済む可能性があるが、北海道は272億円余りの運用を既に実施。資金需要の多い4、5月には歳計現金が不足するため、金融機関からの一時借り入れが増えるが、金利負担の軽い基金からの繰り入れ運用で資金の一部を賄い、2000万円程度負担を減らした。

◇主要市も軒並み減
 政令市や県庁所在市、中核市も基金の減少が続いている。08年度末の各種基金の残高総額は、▽政令市8495億円(07年度末比2.8%減)▽政令市を除く県庁所在市5639億円(同3.1%減)▽県庁所在市を含む中核市8010億円(同1.0%減)−と軒並み減る見込み。

 さらに09年度末には、▽政令市7071億円(08年度末比16.8%減)▽県庁所在市4873億円(同13.6%減)▽中核市6602億円(同17.6%減)−と大幅に減る見通しだ。

 「(09年度の)交付税や臨時財政対策債の発行可能額が増えたため、財調基金の取り崩しはしない」とする福島市や、行革を進めてきた結果、09年度当初は22年ぶりに同基金を取り崩さずに予算を編成できた岡山市などは少数派。もともと残高がゼロの団体を除き、09年度当初に同基金を取り崩さなかったのは、政令市4、政令市を除く県庁所在市6、県庁所在市を除く中核市3にとどまる。

 トヨタ自動車の城下町、愛知県豊田市は世界的な不況のあおりを受け、法人市民税が大幅にダウン。09年度当初、財調基金を過去最高の206億円取り崩した。奈良市は減債基金が08年度末からゼロになる見込みのほか、財調基金も09年度末にほぼ底を突きそうだ。減債基金は東大阪市が09年度末に枯渇する見通しで、甲府市や千葉県柏市も底を突きつつある。兵庫県西宮市は10年度末に財調基金がゼロになると見込んでいる。

◇環境、ふるさと納税関連で新設
 08年度補正か09年度当初の基金新設は08年度当初に引き続き、環境やふるさと納税関連で目立つ。
 環境関係では、秋田県が産業廃棄物対策基金を2月に設置。以前から導入していた産廃税を積み立て、産廃の発生抑制やリサイクルなどを促進する事業に充てる。横浜市は緑地保全のために個人と法人に課す「横浜みどり税」の09年度からの導入に伴い、「みどり基金」を設けた。ふるさと納税の受け皿となる基金は、「水戸黄門ふるさと基金」(水戸市)、「ふるさと津かがやき基金」(津市)をはじめ、多くの団体が新設している。

 このほか、▽展覧会など子どもの発明力を伸ばすための活動に充てる「発明事業振興基金」(和歌山市)▽中心市街地の活性化に使う「頑張るマチグヮー基金」(那覇市)−といった基金が創設された。 


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