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官庁速報


2009年 5月19日

17府県が備蓄前倒し
新型インフル発生で抗ウイルス薬の確保−時事通信調査

 新型インフルエンザ発生を受け、47都道府県のうち17府県が抗ウイルス薬「タミフル」「リレンザ」の来年度以降の備蓄計画について、2009年度への前倒しを決定したり、前倒しを検討したりしていることが時事通信社の13日までのアンケートで分かった。懸念されていた新型インフルエンザ発生が現実のものとなり、都道府県の間で予定を早めて備蓄する動きが広がっている。

 政府は今年2月、「タミフル」「リレンザ」の備蓄量について、これまでの全人口の23%分から11年度を目標に45%分(5861万人)に引き上げる方針を決めた。備蓄量は国と都道府県がほぼ半々で割り当てられ、都道府県全体で「タミフル」は1050万人分から2380万人分に、「リレンザ」はゼロから133万人分に増やす予定だ。各自治体の備蓄目標量は人口に応じて設定されている。

 各都道府県は政府方針を受けて09〜11年度の3カ年計画(一部は09〜10年度の2カ年計画)を策定し、必要分の抗ウイルス薬の購入準備を進めてきた。しかし、4月にメキシコで新型インフルエンザが発生、日本国内でも感染が確認される事態となったため、急きょ備蓄計画を前倒しする都道府県が出てきた。

 09年度分の購入については、大半の都道府県がタミフルを国内販売する中外製薬と交渉し、納入時期を2、3カ月早める方向で動いている。製造や輸送事情から各自治体への納入は7〜8月に集中するとみられる。

 一方、宮城、福島、群馬、埼玉、新潟、福井、長野、滋賀、京都、大阪、兵庫、鳥取、山口、徳島、高知、長崎、熊本の17府県は、来年度以降の備蓄計画の一部またはすべてを前倒しする方針を決定、もしくは検討に入っている。このうち、福島、新潟、福井、鳥取、山口、徳島の各県は09年度中に備蓄を完了させる方針だ。

 ただ、計画の前倒しを「未定」「なし」と回答した場合でも、「国が何らかの措置を講じる場合は対応したい」(北海道)、「患者の発生動向によっては検討する」(山梨)など前向きな自治体は少なくなく、今後、追随する動きが出てきそうだ。

 多くの県が計画の前倒しを急ぐ一方で、既に目標量を確保したか、確保のめどを付けた自治体もある。東京は国が示した目標備蓄量255万人分(タミフル、リレンザ合計)を上回る400万人分を確保しており、10年度末には人口比で約60%に相当する800万人分に増やして備蓄を終える。また佐賀、三重は新型インフルエンザの発生前から09年度内に備蓄を完了する方針を打ち出しており、計画通り目標量を達成する見通しだ。

 スイスの製薬大手ロシュが製造するタミフルの年間供給量は最大4億人分。中外製薬の広報・IR部は都道府県からの要請について「対応できるよう可能な限り努力している」と話しているが、世界的な感染の広がりで需要は急増しており、自治体側の希望通りに商品が納入できるかどうかは現時点では不透明だ。

 アンケートでは、新型インフルエンザ対策に関連する国への要望も聞いた。対策全般への財政支援の拡充を求める声が多く、具体的な施策としては「『発熱外来』の医療従事者への補償制度創設」(宮城、山形、神奈川、京都、兵庫、徳島、佐賀)、「予防投与への助成」(北海道、長崎)といった意見が寄せられた。

 このほか、「自治体への迅速な情報伝達」(鳥取、徳島、香川、大分)、「社会活動制限に関する基準の明確化」(宮城、兵庫)、「対策推進のための法的権限の付与」(京都)、「情報公開についての事前調整」(岡山)などの回答があった。


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