京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化
官庁速報


2009年 3月 4日

徴税現場への派遣も検討
幹部候補の研修を充実へ−人事院

 人事院は、若手の幹部候補国家公務員を対象とした研修を充実させる。徴税現場など困難かつ国民との接触が多い職場への派遣や、薬害エイズ問題といった過去に失敗した政策事例の分析を研修に取り入れる方向で検討を進めている。各府省に対しても、幹部候補を自己判断が必要な重責ポストに就け、能力などを見極めるよう求める。いわゆるキャリア制度を改め、能力・実績に優れた人材を幹部国家公務員に育成するための一環。早ければ2009年度中に実施する。

 研修内容の充実化は、幹部育成などをテーマとする有識者検討会(座長・西尾隆国際基督教大教授)がこのほどまとめた報告書を受けた措置。報告書は国家1種試験の採用者を優遇するキャリア制度の抜本的見直しを求めた上で、幹部公務員に「誤った特権意識をなくす一方、自分たちで社会基盤を支えていくという気概や使命感を植えつけるべきだ」と提言している。

 人事院は提言を受けて、研修内容の改善に着手。各府省から集まった若手の幹部候補を行政の第一線に派遣する方向だ。現段階では税金で政策を遂行していることを自覚させるため、徴税現場に最長数カ月程度勤務させることを想定している。単なる視察ではなく、実績を上げることも求める方針だ。今後、国税庁などとの調整を進める。

 また、各府省が年々困難な政策課題を抱えていることを踏まえ、判断ミスを起こさないよう過去に失敗した政策事例の分析を研修に盛り込む考えだ。例えば薬害エイズ問題や年金記録問題などをテーマに、どうすれば問題を回避できたかを討議してもらう。人事院によると、このような研修は、各府省ではやりにくいという。

 これまでのキャリア制度下だと、一部の幹部候補は若手のうちから警察署長や税務署長といった地方行政機関のトップを務めることがあり、「特権意識につながる」と批判されていた。このため、人事院は各府省に対し、幹部候補にはベテラン職員に補佐される地方の上位ポストではなく、自己判断が必要な重責ポストを経験させるよう求める方針だ。

 人事院はまた、「官」が政治を支えるに当たっては「能力の高い幹部公務員が必要」と強調。国家公務員制度改革でも議論されている政官関係について「政権の判断に忠実に従うよう研修を通じて育成する」としている。


府職労ニュースインデックスへ