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府職労ニュース


2009年 8月11日

職員の生活不安と景気悪化に拍車
 人事院が賃下げの「先導役」に

京都府職労連の09人事院勧告への見解

総選挙で要求実現の展望切り開こう

 人事院は8月11日、内閣と国会に対し国家公務員の給与及び勤務時間等に関する報告と勧告を行った。その最大の特徴は、官民較差が△0・22%(△863円)として、俸給表を初任給を中心とした若年層及び医療職T表を除き平均0・2%引き下げるとともに、自宅に係る住居手当を廃止するとしたこと、一時金を過去最大の△0・35月分(6月期の「0・2月」凍結分含め)の引き下げを行い、年間給与で平均△15・4万円、△2・4%のマイナス勧告を強行したことである。俸給表・住居手当・一時金の「トリプルマイナス勧告」が公務労働者の生活不安と景気悪化にいっそう拍車をかけることは避けられず、断じて認められるものではない。

●労働者の所得を保障し、消費購買力の引き上げこそ不況打開の道

 09人勧の第1の問題点は、今回の勧告が、公務・公共労働者など700万人に影響を及ぼし、消費後退とさらなる景気悪化の悪循環をつくりだすことである。日本経済の立て直しに背を向け、公務労働者の生活実態を無視した不当な勧告だと言わざるを得ない。

 いま、深刻な日本経済を立て直すには、膨大な内部留保を溜め込みながら首切りと賃下げで労働者に犠牲をおしつける大企業の横暴をただすとともに、労働者の雇用を守り、生活改善につながる賃上げで消費購買力を高めることが必要である。年収ベースで人勧史上2番目に大きなマイナス勧告が行われたことは到底容認できるものではない。

 第2の問題点は、5月の夏季一時金凍結勧告が民間の夏季一時金に悪影響を及ぼし、民間給与実態調査に反映されるという流れを作り出した結果、人事院が国家公務員の労働基本権制約の「代償機関」としての役割を放棄するにとどまらず、勧告制度や従来のルールを無視して、全ての労働者の賃金引き下げの先導役としての役割を果たしたことである。

 第3の問題点は、給与構造改革に伴う経過措置額を含め、03年、05年と同様、本年4月から改正法施行までの較差相当分を12月期の期末手当において調整するとしているが、これは「不利益不遡及原則」を踏みにじった不法・不当なものだと言わざるを得ない。

 第4の問題点は、地域間給与配分の見直しに関わって、05年に示した地域区分(ブロック)の較差を示し、給与構造改革前よりも縮小しているとしたものの、2011年度以降に最終的な検討を行う必要があるとしていることは、地域間格差の拡大につながるものであり看過できない。

●超勤縮減、子育て支援の拡充を

 一方、われわれのたたかいを反映し、いくつかの改善についての言及もされている。労働基準法改正を踏まえ、月60時間を超える超過勤務に係る超過勤務手当の支給割合を、勤務1時間当たり「150/100」に引き上げるとしたことは、異常な超過勤務の解消を求めるたたかいの反映として評価できる。

 しかし、時間数の積み上げの際に日曜日を除外するとともに、当該加算した支給割合の超過勤務手当の支給に代えて代替休を指定することができる制度を新設したことは、問題もあり今後必要な改善を求めるものである。

 民間の育児・介護休業法の改正を踏まえ、配偶者が育児休業をしている職員についても、育児休業の取得を可能とすることなど育児休業制度の拡充を内容とする「国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出」が行われたこと。これと併せて、「超過勤務の免除制度」の新設、「介護のための短期の休暇」の新設、「子の看護休暇の期間」の拡充を人事院規則改正により措置するとされたこと。公務員人事管理に関わって、超過勤務縮減や仕事と家庭生活の両立支援の推進、職員の健康保持(メンタル、パワハラ対策等)について言及されたことも重要である。

●非常勤職員の労働条件の抜本的改善を

 非常勤職員の給与などにかかわっては、昨年の給与決定に関する指針によって非常勤職員給与の適正支給の取組は着実に進んできており、「引き続き早期に指針の内容による給与支給が確保されるよう関係府省に要請していく」、「非常勤職員の休暇及び健康診断については、忌引休暇等の対象となる職員の範囲を拡大し、一般定期健康診断の対象となるよう取組を進める」、「日々雇用の非常勤職員の任用、勤務形態を見直し、臨時的な業務に一定期間雇用されるという性格に応じた適切な任期や再任のルールを設定する必要があると考え」ており、「本年度内を目途に結論を得るべく検討を進める」等としており、改善に向けた努力は始まっている。いま非常勤職員の労働条件について、緊急に求められていることは、労働条件を抜本的に改善して、一般職員との均等待遇を実現することである。雇用と賃金の「底抜け」という深刻な事態、官製ワーキングプア問題を解決するために、たたかいを強めなければならない。

●定年年齢の延長問題は慎重な対応を

 高齢期の雇用については、「公務能率を確保しながら65歳まで職員の能力を十分活用していくため年金支給開始年齢の引上げに合わせて、定年年齢を段階的に65歳まで延長することが適当であると考える」とされている。公務労働者の人生設計、行政組織のあり方、職員採用から退職に至るまでの人事管理等、様々な問題があり、労働者・労働組合の意見を十分踏まえ、慎重に対応されることを求めていく。
 なお、総給与費の増大を抑制するとして、60歳台前半の給与水準、60歳前の給与カーブ等を見直すとしていることは問題である。

●要求前進、総選挙勝利を

 私たちは、この間、自治労連・公務労組連絡会に結集し、人事院への署名や中央行動など公務員賃金引き上げなどを求めとりくんできた。人事院勧告が出されたもとで、京都府人事委員会に対して、地域手当の改善、自宅に係る住居手当の廃止反対等、生活改善につながる勧告を行うよう求めるとともに、「新たな人事評価制度」と処遇反映や非常勤嘱託・臨時職員の勤務条件改善など独自課題での要求前進に向け、賃金確定闘争に全力をあげるものである。

 最低賃金の引き上げや労働者派遣法の改正など働くルールの確立、「貧困と格差」の解消、憲法改悪や地方自治破壊、府政リストラを許さず、切実な要求をかかげて総選挙そして来春の京都府知事選挙に勝利するため奮闘するものである。


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