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府職労ニュース


2009年 8月 3日

核兵器廃絶が世界の流れに
 長崎大会の特徴など小杉 功(京都原水協事務局長さんに聞く

今年の原水禁大会は  歴史の新たな1ページに

 広島と長崎での原水爆禁止2009年世界大会が間近に迫りました。来春にニューヨークで開催される核不拡散条約(NPT)再検討会議を前にした大会であることに加えて、この4月にはアメリカのオバマ大統領が「核兵器のない世界を追求する」との演説を行うなど、大きな転換点の大会となります。京都原水協の小杉事務局長にお話を聞きました。

Q.4月にオバマ大統領が「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」と演説しましたね。
A.最強の核保有国であるアメリカの大統領が宣言した意味は大きなものがあります。核軍縮・廃絶をめぐる国際政治の雰囲気を一挙に変えました。7月6日には次期の米ロ戦略兵器削減条約が合意され、ロシアのメドベージェフ大統領もこの交渉が「核兵器のない世界というもうひとつの目的」を促進するものとなりうると述べました。世界の核兵器(2万5千発)の95%以上を保有するアメリカとロシアの動きとして歓迎すべきです。

●イラク戦争の大破綻を教訓に

Q.このまま、核兵器廃絶へと一直線に進んでいくのでしょうか。
A.そう単純にはいかないでしょう(笑い)。合意された数字からしても、抜本的な削減と言えるものではありませんし、実際の削減がどれだけの規模になるのか、その検証や、ゼロに向けてのプロセスなど、今後に委ねられる部分が多いのも事実です。これからの世論と運動にかかっていると思います。

Q.それにしても、なぜ今、核兵器ゼロに向けた動きが出てきたんでしょうか。
A.草の根の「核兵器ノー」の世論と運動が大きく広がっていることがあります。そして、これまでのアメリカの核不拡散政策、とりわけイラク戦争の大破綻です。2005年のNPT再検討会議は失敗に終わったのですが、その原因はアメリカのブッシュ政権が「力による秩序」を掲げて、2000年のNPT再検討会議で合意した「核兵器廃絶の約束」を反故にし、軍縮努力について討論することさえ拒否したからです。結果としてテロリストや対立する国々に核兵器が拡散する危険をさらに増大させる事態を招きました。核兵器廃絶の流れが世界に広がるなかで、こうした現状を厳しく批判し大統領選挙を勝ち上がったのがオバマ氏であり、それを支持したのがアメリカ国民の世論です。
 余談ですが、オバマ氏は民主党の大統領候補の指名選挙をたたかっていた2007年10月にシカゴのある大学で、「平和市長会議」(会長・広島市長、副会長・長崎市長)がおこなっていた全米巡回原爆展を見ていたことがわかりました(「中国新聞」09年2月19日付)。広島・長崎の被爆の実相を自分の目で見ていたことが、オバマ演説に少なからず影響を与えたと思います。

●世界の流れに逆らう日本政府

Q.こうした世界の流れにたいして被爆国の日本政府の対応は?
A.残念ながら世界の動きに逆らい、足を引っ張っているのが日本の政府です。麻生首相は、「オバマ大統領とともに核軍縮・不拡散に取り組む」(施政方針演説)としながらも、実際には中国の「軍備強化の不透明性」とか北朝鮮の核・ミサイル開発を口実に、核兵器廃絶の流れに抵抗し、日米同盟と「核の傘」を中心とする軍事的対応を強めています。

Q.被爆国の政府としての姿勢が問われているんですね。
A.いまオバマ大統領が「核兵器のない世界」を提唱したことは、朝鮮半島非核化の新たな条件をつくり出しています。北朝鮮にとっても核保有による「安全の保障」よりも「核兵器のない世界」による安全保障こそが真の安全保障につながることは明らかです。同時にそれは日本にとってもアメリカの「核の傘」から離脱し、核兵器の廃絶と非核三原則に立った非核平和の真摯な努力が求められていることを示しています。

●広がる「非核日本宣言」運動、「核兵器のない世界を」署名

Q.日本でも「非核」を求める運動が広がっているんですね。
A.ええ。「非核日本宣言」は、全国で賛同する首長が440人、議長297人、意見書採択議会234(6月末現在)と全国に広がっています。「非核宣言こそ、わが日本国に出来る最高の国際貢献です」(井上ひさしさん)など、各界の著名な人たちが「非核日本宣言」運動に大きな期待を寄せておられます。

Q.来年のNPT再検討会議に提出する「核兵器のない世界を」署名はどうなっていますか。
A.この国際署名は、NPT会議にむけた世界共通の行動として昨年の世界大会で提起されました。今度のNPT会議の最大の焦点は、「核保有国をはじめすべての国の政府がすみやかに核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始し、締結することに合意する」(署名)ことです。NPT会議の成功のカギを握っていると言ってもよいと思います。京都ゆかりのノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さん、臨済宗相国寺派管長(金閣寺・銀閣寺住職)の有馬頼底さんをはじめ、広島市長の秋葉忠利さん、長崎市長の田上富久さん、野球解説者の張本勲さんなど、幅広い方々にも賛同・協力いただています。日本で人口の1割、1200万筆を集めて代表に託そうと全国でとりくまれています。

Q.今年の原水爆禁止2009年世界大会は、大きな転換期の下での大会となるんですね。
A.来年5月にニューヨークで開催されるNPT再検討会議を前にした大会としても重要な位置づけをもっています。1945年8月のあの日から、被爆者が叫び続けた「核兵器なくせ」の声が人々を立ち上がらせ、世界を動かしています。ぜひ、京都府職労連からも多くの代表を派遣していただきたいと思います。



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