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府職労ニュース


2008年5月 8日

憲法九条の世界的意義考えよう
9条世界会議千葉、大阪、広島、仙台で開く
戦争廃絶のための世界宣言採択

 戦争放棄をうたう憲法九条の世界的意義を考えようと、幅広い知識人などが呼びかけた9条世界会議が5月4〜6日の3日間、千葉市の幕張メッセで開催された。国内外から多数の参加者がつめかけ、初日には会場に入りきれない人が3千人にのぼった。3日間でのべ2万2千人以上が参加した。仙台、大阪、広島でも関連行事が開かれた。(写真は、大阪会議)

 初日の全体会で基調講演した北アイルランドのノーベル平和賞受賞者、マイレッド・コリガン・マグワイアさんは「日本の平和憲法の核心は前文と九条。(制定から)六十年にわたって軍備廃絶の基調をつくり、東アジアの平和に寄与してきた」と述べた。
 米国の平和活動家、コーラ・ワイスさんは「九条を世界中の憲法に入れる手伝いをするために私はこの場に来た」「核兵器をなくし九条を守るために行動を起こそう」と呼びかけた。

 トークセッションでは、米国のイラク帰還兵、エイダン・デルガドさんとイラクの元兵士、カーシム・トゥルキさんが席を並べ、「兵士としてイラクに行き、美化されていた戦争がすべて嘘だと知った」(エイダンさん)、「軍事行動は破壊を進めるだけ」(カーシムさん)など、自らの戦争体験や平和活動への思いを語った。

 ダンスや音楽ライブなどもふんだんに盛り込まれ、二日目には多くの分科会やパネル討論、自主企画などが行われた。
 最終日に記者会見した日本実行委員会の吉岡達也共同代表は「国際貢献に九条は邪魔だと言われるが、紛争地の市民に本当に喜んでもらえるのは九条の精神にもとづいた貢献だ」と強調。今後、世界各国でプレ会議などを行い、二回目の世界会議開催につなげたいと語った。
 「9条国際会議IN大阪」は5月6日、大阪・舞洲で開催された。開催の「うたごえ」のみなさん400人人が「日本国憲法第9条」などオリジナル曲を合唱、海上に響き渡った。
(写真は大阪会議)
 参加者は6000人、午前10時30分のワークショップをはじめ、海外ゲストスピーチ、小山乃里子さんと香山リカさんの対談、ソウル・フラワー・ユニオンライブ演奏と第3部までのたっぷり7時間のイベントをやりあげた。

平和の実現には教育が必要/九条の危機と未来/米軍支援での加害責任にも言及
 9条世界会議のシンポジウム「九条の危機と未来」(5月5日)では、九条が直面している危機や、平和な社会の実現に向けてできることは何かについて話し合った。定員600人の会場は、立ち見が多数出るほどで、参加者の関心の高さがうかがえた。
 「だれが九条を捨てさせようとしているのか」との問いに、精神科医の香山リカさんは、米国の思惑を日本の政治家や経営者が支えていると指摘。「(九条改正は)『いつも強く、かつ成長していたい』という発想のもとで、自信をなくしている政治家や経営者にとっての、最後の誤った『精力剤』なのではないか」と述べた。

 早稲田大学の水島朝穂教授は「(改憲への圧力に)便乗しようとする議員やメディア、経済人が一番危ない」と述べるとともに、「市民の間にも『より強い者』を求める空気が強くなっている」と指摘した。
 九条の未来に向けた議論で、ロニー・アレキサンダー神戸大学教授は「平和への準備として、想像力や創造力を高め批判的思考を養う教育が必要」と述べた。伊藤塾塾長の伊藤真さんは「平和教育とともに主権者教育、憲法教育が必要。それが次世代への責任ではないか」と語った。

 経済同友会終身幹事の品川正治さんは「国民投票で(九条改正に)『ノー』と言ってしまえば、米国も世界戦略を変えざるをえなくなる。日本の主権者が世界史を変えることになる」と参加者を激励した。
 9条世界会議日本実行委員会の吉岡達也共同代表は「米国を支援することで、私たちも紛争地の人びとを殺している。(戦争を放棄した)九条こそが、紛争に苦しむ人びとに求められている」と述べた。

戦争廃絶のための世界宣言/9条世界会議が各国に呼びかけ/「人類の共通財産」と指摘
 千葉市で開かれていた9条世界会議は最終日の5月6日、「戦争を廃絶するための9条世界宣言」を採択、日本を含むすべての政府や市民社会が平和の実現のために取り組むべき行動や課題を提言した。
 宣言は「9条は単なる日本だけの法規ではない。それは国際平和のメカニズムとして機能し、世界の平和を保つために他の国々も取り入れることができるものである。9条世界会議は、戦争の廃絶をめざして、9条を人類の共通財産として支持する国際運動をつくりあげ、武力によらない平和を地球規模で呼びかかる」と強調した。

 戦争のない世界実現に向けた人類の努力、武力紛争が拡大する世界の状況などを指摘するとともに、九条の原則を国際レベルで実行するため、すべての国々が暴力紛争の発生を予防する責任を果たし、いかなる状況下でも武力による威嚇や武力行使を放棄しなければならないと指摘した。

 その上で、各国政府に対しては、国連憲章や軍縮条約などすべての国際的誓約を実行することや、憲法九条のような平和条項を自国憲法に盛り込むことなどを呼びかけた。

 日本政府には、九条の精神を世界に共有される遺産として尊重し、保護し、さらに活性化しつつ、国際平和メカニズムとしての潜在力を実行に移すこと、日本が軍事化の道を歩まず、東北アジアの平和を危機に陥れるような行動をとらないことを訴えた。
 市民社会の誓約として、九条の原則の維持・拡大を地球規模で促進していくことに真剣に取り組み、平和の文化を普及していくことや、過去から学び、紛争予防としての和解の取り組みをすすめることなどを提言した。



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