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府職労ニュース


2008年 6月16日

今、ふたたびナースウェーブを
いのちと地域を守る大運動へ

近畿自治体病院交流集会ひらく

 近畿自治体病院交流集会が14日〜15日、大津市のホテルで行われ、日本の医療崩壊について全国で講演する済生会栗橋病院(埼玉県)の本田宏副院長が、医師不足から来る医療制度の問題点について語りました。集会には、府職労氏支部洛南病院分会、法人労組医大支部から代表が参加しました。

 集会は、滋賀県職が集会事務局を担当し、県内関係病院や医療機関、議員、自治体やマスコミへの要請を行い、本田先生の講演の魅力、自治体病院の役割と医師確保対策について懇談し、本集会への参加を広範な方々に呼びかけて、220名の参加がありました。

 集会事務局には「本田先生とおなじ研究会なので出席したい」など勤務医や開業医、医療関係者などから多くの反応を頂きました。またマスコミ関係の方からも「医師確保対策は必要であり、記事を書きます」と連絡があり、マスコミ注目の集会となりました。

 記念講演で本田先生は、「日本の医療制度の問題点と解決策」をテーマに、「なぜ経済大国日本で医療崩壊が進行し、さらに後期高齢者医療制度までが強行に導入されたのか、その根本原因は、日本が医療費亡国論の国で、その結果日本の医療体制がグローバルスタンダートから大きく立ち遅れている」と位置づけられました。そして、医師不足問題でも、根本原因は「偏在」ではなく「絶対数不足」と述べ、日本の医師数26万人は人口当たりで世界63位、OECD加盟国平均からはなんと14万人不足、このままでは2020年にはOECD加盟国中最少となる見込みと分析結果を示されました。「今こそ医療者はもちろん、国民も情報を共有し、医療崩壊阻止のために立ち上がる社会的責任がある」と集会参加者に力強く呼びかけました。

 集会の講座や分科会を通じて、昨年12月に総務省からだされた「公立病院改革ガイドライン」は、政府の医療費と医師の抑制政策によって起った医師不足による診療体制の減少や診療報酬引き下げと、三位一体の改革による地方財政の危機には抜本的な対策も立てず、病院の健全経営のみを強調したものとなっていることが一層浮き彫りになりました。また、自治体財政の危機というロ実の下に行われている、住民サービスの切り捨てや自治体病院の統廃合・廃止により、その街に住み続けることができなくなるという新たな困難も生じようとしていることも近畿各地のとりくみを通じて明らかになり、そういうときだからこそ労働組合の役割の重要性がますます鮮明になっていることも共通の認識となりました。

看護師確保対策では、私たちがとりくんだ「看護職員確保法の早期改正を求める署名」が全国で60万筆を越え、全地方議会の46%以上にあたる872議会が意見書や請願を採択し、衆参両院国会議員の144名が賛同表明をしています。こうした世論と運動を受け、本集会は「今、ふたたびナースウェーブ」をテーマに講座を持ち、「全国的な経験・教訓を近畿で大いに広めること」「医師・看護師をはじめ医療職員の増を求める運動として職場・地域ですすめること」を確認し合いました。
 職場では「電子化」や「成果主義」「目標管理」など、働き続けることにストレスが多くなっている下で、集会において「働くルールとメンタルヘルス対策」を学び、分科会で学習と討論を深めました。分科会では、滋賀県で「名ばかり管理職」と「サービス残業」「労働時間管理」が社会的な問題になっていること、その運動を労働組合が正面から取り組んでいることも報告されました。このことは、病院職場で今日まで当たり前のように違反行為が横行していたことに対する問題提起であり、自治体病院が「法人化」や「公営企業法の全部適用」など独立性が強くなる下で、「36協定」の必要性とその職場での労働時間管理が管理者責任であること、そしてサービス残業は違法行為であることを学び職場の運動に今後大いに活かしていくことを確認しました。

 2日間の討論を通じて、自治労連が提起した「いのちと地域を守る大運動」を参加者一人一人が職場・地域で語り、推進することを決意し、来年の集会を奈良県で開催することを決定した。   
            


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