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官庁速報


2008年11月28日

地方財政「むしろ改善」
格差是正、重要に−財政審建議

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、2009年度予算編成に関する建議(意見書)をまとめ、中川昭一財務相に提出した。地方財政をめぐっては、04〜06年度の三位一体改革に伴い削減された地方交付税の復元・増額を求める声が地方側に根強いことから、改革前後の状況を比較。その結果、総体としては「むしろ財政体質の改善を示している」と分析した。

 ただ個別に見れば、税源移譲が「地域間格差を拡大したという側面が大きい」とも指摘。その是正に努めることが重要だとした。

◇地方一般財源は増加

 財政審が示したデータによると、三位一体改革前の03年度と直近の08年度を比べた場合、地方一般財源(地方税、地方譲与税、地方特例交付金、交付税、臨時財政対策債の合計額)は57.8兆円から59.9兆円と、2.1兆円増加。一般財源比率(地方財政計画の歳入総額に占める地方一般財源の割合)も67.1%から71.8%と、4.7ポイント改善しているという。

 加えて、この間に交付税と臨財債は計5.7兆円(交付税で2.7兆円、臨財債で3兆円)減っているが、地方税は逆に5.3兆円(税源移譲分の3兆円を除く)増えており、マイナス分をほぼ埋め合わせる状況にある。さらに給与関係経費の縮減(1.2兆円)や地方債残高減に伴う公債費の減少(0.4兆円)など、計2.8兆円の歳出削減が実施されているため、建議は「総体としての地方は、交付税が削減されて財政が悪化しているわけではない」との判断を下した。
 それにもかかわらず、地方側から「地方の財政運営は危機的状況にある」との訴えがなされている背景について、財政審は三位一体改革を通じ、税収増より交付税減の影響が大きかった団体が生じてしまったという実情があるとみている。
 建議はこうした現状を踏まえ、09年度予算編成に当たっては(1)地方税財政改革を一層進めることで歳出抑制を図るべきだ(2)財政力の弱い団体の状況を改善するため、地域間格差の是正に努めていくことが重要だ−と提言した。

 格差是正に関しては、08年度税制改正で暫定措置として導入された地方法人特別税・譲与税を「有力な方策」と評価。今後進められる地方分権では「こうした仕組みを踏まえ議論がなされるべきだ」「税源移譲と税源の偏在是正策は一体不可分のものとして検討する必要がある」と指摘している。

◇埋蔵金活用は「臨時・特例的」

 このほかに建議は、11年度までに国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化させるとの財政健全化目標について、「達成に向けた取り組みを怠ってはならない」と強調。政府・与党が10月末にまとめた追加経済対策(生活対策)で、「霞が関埋蔵金」の代表格とされる財政投融資特別会計の金利変動準備金(積立金)の活用を打ち出したことに対しては、「あくまで臨時的・特例的な措置であるとの認識を持つべきだ」とクギを刺している。

 また同対策で、年末に策定するとされた社会保障・税財政一体改革の中期プログラムには「10年代半ばを視野に、社会保障の安定財源の確保へのしっかりとした道筋と、そのための具体的な税制改革の在り方を盛り込むべきだ」と注文を付けた。

 その上で、09年度予算編成では「財政健全化と経済成長の両立」を図るべく、7月29日に閣議了解された概算要求基準(シーリング)の堅持を要請。道路特定財源の一般財源化は「現下の危機的な国の財政状況を踏まえ、国の財政健全化に資する改革」とするよう求めている。


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