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官庁速報


2008年 3月 5日

経済的支援、就職問題など議論
博士課程修了者の活用で−中央教育審議会

 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)大学院部会は、就職率も低く、社会のニーズとのミスマッチが指摘される大学院の博士課程修了者の活用策に関する審議を始めた。現状の問題点を分析した上で論点をまとめ、経済的支援や就職問題などについて、制度改善や体制拡充に向けた議論を進める方針だ。

 大学院在学者数は、1991年に約10万人だったのが2000年には約2倍の約20万人に増え、07年は26万2113人となっている。このうち、博士課程在学者を見ると91年約3万人、2000年約6万人、07年7万4811人と着実に増えている。

 しかし、07年の博士課程修了者1万6801人の就職率は58.8%。ここ数年上向いているが、分野別では、社会41.3%、人文33.0%、芸術11.7%で、工学の59.1%、理学の53.9%などと比べると非常に低い。このため、社会や人文の分野では、学位を取得するか、博士課程に在学したが学位取得に至らなかった人で、定職に就かず大学などで研究を継続している「オーバードクター」が多数存在する。

 同部会は、博士課程修了者や在学者らについて、社会全体で活用を促進する方策などを議論する予定で、委員の中からは小中学校の現場で積極的に働いてもらうべきだと声も出ている。

 大学院の質確保の観点からは、博士課程の競争倍率の低さも問題点として指摘されている。定員の充足率が大学評価や補助金などに反映されるケースがあり、分野によって異なるが、入学定員に対する志願者の割合は全体で0.9。数字を見れば希望者がほぼ入学できる状況となっており、入学者を選べないことで質の低下も懸念されている。

 同部会はそのほか、学位審査に関する透明性・客観性確保の問題も検討する方向。また、特に諸外国に比べても低いとされる博士課程在学生への経済的支援について、充実を求める声は強く、国や大学の対応に加えて民間からの支援拡大なども含めて議論する見通し。


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