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官庁速報


2008年12月11日

地方交付税増額を提言
共同金融機構の創設も−地方財政審議会

 地方財政審議会(総務相の諮問機関、神野直彦会長)は、2009年度の地方財政に関する意見をまとめ、鳩山邦夫総務相に提出した。地方交付税の削減に伴い、財政力の弱い自治体を中心に住民サービスに不可欠な経費の削減を迫られているとして、自治体の財政需要を適切に洗い直した上で所要の一般財源を確保するとともに、地方交付税を増額するよう提言。政府の追加経済対策に盛り込まれた自治体の一般会計に長期・低利の資金を融通できる「地方共同金融機構」については、現在、原則として公営企業の事業に限って融資している地方公営企業等金融機構を改組した上で創設するよう求めている。

 総務省は意見を受け、交付税の増額や、09年の通常国会への地方公営企業等金融機構法改正案提出を目指す。

 09年度の地方財政をめぐる総務、財務両省の折衝では、景気後退で地方税も地方交付税の原資となる国税5税もともに大幅な減収が見込まれる中、交付税をどこまで増やせるかが焦点になっている。

 地財審は、「骨太の方針2006」が掲げた、11年度に国・地方を通じたプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化する目標について、「重要な取り組みであり、今後とも達成すべく努力すべきだ」と指摘。その上で、実際は骨太06の歳出削減路線に基づき毎年定めてきた地方財政計画上の数字以上に、「(自治体に)厳しい歳出の抑制を求める結果となっているのではないか」と訴えた。

 具体的には、国の特定疾患治療研究費補助金について、「実質的に自治体の義務的経費となっているが、国の予算措置は実態に達せず、毎年400億円程度の超過負担が生じている」と指摘。国が負担すべきなのに、地方の一般行政経費(単独分)で賄われていることになるため、同経費の規模を骨太方針の目標以上に「押し下げている」とした。

 さらに、公共事業に従事する職員の人件費である「事業費支弁人件費」が投資的経費に計上され、毎年3%のマイナスシーリングの対象となることなどから、骨太06の定める「5年間で5.7%の定員削減」を「相当上回る減員が行われている」と強調。地財計画に分散計上されている人件費を給与関係経費に統合するよう提言した。

 その上で、こうした問題を含めて自治体の財政需要を適切に洗い直し、地方交付税について所要の増額を図るよう求めた。

 また、名指しこそ避けたものの、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が先の09年度予算編成に関する建議で、「国は総体としての地方よりも極めて厳しい財政状況となっている」などとした点にも反論した。国の債務残高が地方の約3倍になっていることを取り上げて「地方の方が余裕がある」とする主張に対し、経済協力開発機構(OECD)諸国の平均では国の債務残高が地方の約8倍に達していることなどに言及。「国と地方の違いや世界の常識を踏まえないもので、国民に大きな誤解を与えかねない」と批判した。

 このほか地財審は、自治体のニーズに応じ、「一般会計債を含むすべての地方債資金を自主的に貸し出せる地方共同の金融機構」を、地方公営機構の機能を拡充して09年度に創設するよう提言。厳しい地方財政や政策金融機能の縮小、地方分権などの観点から、国や自治体に新たな出資や政府保証を求めないこととし、現行機構の枠組みで可能な融資枠の範囲内での長期・低利融資の実施を促した。機構の名称を改めることなども求めた。


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