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官庁速報


2008年 5月16日

定住自立圏、地方支援の受け皿に
人口流出防止で報告書−総務省研究会

 地方から大都市への人口流出防止策を検討していた総務省の「定住自立圏構想研究会」(座長・佐々木毅学習院大教授)は、一定規模以上の地方都市を中心に周辺市町村が協定を結んでつくる「定住自立圏」の創設を提言する報告書をまとめた。これを受け総務省は、政府が6月にまとめる予定の「骨太の方針」に盛り込み、新たな権限移譲や財政支援など地域支援策の受け皿とすることを目指す。

 定住自立圏は、核となる「中心市」と周辺自治体が自主的に協定を結び定める。自立圏の範囲は、通勤・通学や医療、買い物といった住民の生活範囲に応じて、市町村単位で決定する。報告書は「もはや、すべての市町村にフルセットの生活機能を整備することは困難だ」と明言。中心市に圏域全体が必要とする病院などの都市機能を集積させ、周辺市町村と役割分担する「集約とネットワーク」により、地域の生き残りを図る考えだ。

 例えば、中心市が病院を整備する場合には、周辺市町村の住民の利用を想定した規模や機能を確保し、周辺市町村にある診療所との連携を推進。周辺自治体は一定の費用負担を受け持つといったように、圏域内での受益と負担の関係も明確化する。

 機能の集積に加え、圏域全体の経営をリードすることができるよう、報告書は中心市に対する権限移譲や財政支援が必要と指摘。権限移譲については、圏域内の教員人事権の移譲や教育委員会の一元化を例に挙げ、「周辺市町村にかかわる権限も含め、中心市が特例的に権限移譲を受けることができるようにすべきだ」とした。

 財政支援としては、経常的に一般財源を強化するほか、過疎法などに基づく特例措置を中心市が圏域全体のために活用できるようにすることなども必要だとした。

 圏域の設定について報告書は、県境をまたいだり、同一自治体が分野ごとに複数の自立圏に加わったりすることもあり得るとした。また、合併後の市町村については、都市機能の集積がある旧自治体を中心市と同様にみなすことで、単独自治体を一つの自立圏とすることも想定する。

 自立圏を設ける手順は、初めに中心市を決めた上で、分野ごとの結び付きを踏まえて圏域を設定するのが適当とした。中心市の要件としては、人口5万人以上で、通勤や通学などにより昼間に周辺から人口流入があることを目安に挙げたが、同等の都市機能の集積がある人口5万人以下の都市や、連携した複数の都市が中心市となることも考えられるとしている。 


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