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官庁速報


2008年 8月21日

耐久性、耐震性などで基準設定へ
200年住宅の認定で−国土交通省

 国土交通省は、3世代にわたって居住できる「200年住宅(長期優良住宅)」の認定に必要な基準づくりを進めている。耐久性や耐震性、維持管理の容易さ、バリアフリーなどの分野について、200年住宅が満たすべき性能・要件を規定する予定で、面積要件などが検討課題として残されている。今後、同省は詳細を詰めた上で、先の通常国会で継続審議となった「長期優良住宅普及促進法案」の成立を待って今年中にも施行したい考えだ。

◇住宅性能表示と整合性
 200年住宅は福田康夫首相の掲げる政策で、優良なストックの形成を促すとともに、住宅の取り壊しを減らして廃棄物を減少させるのが狙い。同省の定める認定基準に沿って、住宅メーカーやマンション事業者、個人が「建築・維持保全計画」を策定し、地方自治体から200年住宅としての認定を受ける仕組みだ。認定を受けると、▽建築確認の簡素化▽登録免許税、不動産取得税の軽減▽固定資産税の軽減−といった特例を受けられる。

 これとは別に、同省は今年度から技術開発を促すモデル事業などにも乗り出しており、当初は今年の通常国会に提出した法案の成立を待って、秋にも認定基準をまとめる予定だった。

 その後、法案は道路特定財源をめぐる与野党対立の影響を受けて継続審議となったが、同省は「臨時国会で法案が成立すれば、すぐに制度をスタートさせたい」(住宅局幹部)としており、現在は現行の「住宅性能表示」と整合性を取りつつ、認定基準の内容を検討している。

◇耐久性は75〜90年以上
 認定基準で定める性能として想定しているのは、▽耐久性▽耐震性▽維持管理容易性▽維持保全▽面積▽バリアフリー−など。このうち、「耐久性」は75〜90年以上にわたって使える劣化対策を義務化するとともに、柱の厚さや樹種などでも劣化の軽減策を細かく定める予定だ。

 また「耐震性」については、現行の建築基準法に沿って、数百年に一度の地震(震度6強〜7)でも倒壊しない対策を義務付けるのに加え、被災後も補修すれば継続的に居住できるための対策・強度を求める方針だ。

 さらに、「維持管理容易性」では柱、壁、床、基礎、梁(はり)といった住宅の「構造躯体(くたい)」に手を加えなくても、家に張り巡らされた配管を点検、清掃、補修できるか評価する。家族の人数が変動した場合、間取りや部屋の大きさなどを簡単に変えられるかどうかをチェックする「可変性」では天井の高さ、屋根などで点検項目を設定する。

 このほか、「省エネ性」は1999年の省エネ水準を満たすことを義務付けるほか、「バリアフリー」でも高齢者居住安定法に基づく基本レベルとして、「エレベーターは開口幅が800ミリ以上」といった要件を定める。

◇面積要件では異論も
 焦点になっているのは面積に関する要件。地方部の一戸建て住宅は3人世帯に必要最低限の要件として、「100平方メートル以上」を設定することが確実な情勢だ。

 ただ、狭い敷地に高いビルを建てる「ペンシルビル」を念頭に「3階建てで100平方メートルを確保したとしても、優良住宅とは言えない」(住宅局幹部)との声が出ており、ワンフロア単位での床面積を設ける方針だ。

 また、都市部のマンションに関する要件も論点。当初、同省は「3人世帯で75平方メートル以上」という案を想定していたが、関係業界から「1人、2人世帯が増える中で要件が過大だ」「都心部で供給戸数が減りかねない」などの異論が出たため、同省は面積要件を引き下げることを検討している。

 具体的には、高齢化社会の到来で独り暮らしや夫婦のお年寄り世帯が増える点を考慮し、「2人世帯で55平方メートル以上」「1人世帯で40平方メートル以上」などの要件を想定しているほか、一定の範囲内で自治体が要件を変更することも認める方向だ。

 また基準は維持保全計画に盛り込むべき項目を例示することにしており、民間企業の先進事例を参考にしながら具体的な内容を詰める。さらに、法案は住宅メーカーなどに対し、定期的な点検と補修を義務付けているため、認定基準では定期的な点検を通じて30年以上良好な状態で使用するのに適切かどうかを評価する。定期点検を最低でも10年ごとに実施することも定める。


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