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官庁速報


2008年 5月28日

遅れる社会資本計画の閣議決定
道路特定財源問題が影響

 道路特定財源の見直しが今秋にずれ込んだのを受け、国土交通省が5年に1回策定している「社会資本整備重点計画」の改定作業が停滞、閣議決定は年末までずれ込む公算が大きくなっている。同計画は道路、下水道といった公共事業の成果指標を定める内容。当初は「10年間で59兆円」と定めた道路中期計画の内容も反映させ、今夏をめどに閣議決定する予定だった。ところが、政府が道路財源の見直しに関する基本方針の中で、新たな道路整備計画を11月ごろに作り直すことを決めた余波を受け、「道路問題が決着しなければ重点計画を決めにくい」(国交省幹部)状況に追い込まれている。

 重点計画は道路、治水、下水道、急傾斜地、海岸、都市公団、空港、港湾、交通安全施設の分野別に分かれた「長期計画」を一本化する形で、2003年度に初めて作られた。同計画に対しては「長期計画に総事業費の目標を盛り込むと、予算配分を固定化させる」との批判が出たため、暫定税率との関係で事業費目標の必要な道路を除き、予算額の目標は盛り込んでない。

 その代わり03〜07年度の成果指標として、「下水処理人口普及率を65%から72%に引き上げる」といった数値を定めたが、現計画は07年度末に期限を迎えたため、同省は新たな計画を検討していた。

 ただ、道路財源をめぐる国会論戦で道路中期計画に対し、野党から「需要推計が不透明だ」との批判が集中。このため、道路財源の改革に関する基本方針では、中期計画を5年に短縮するとともに、最新の交通需要推計を基に新たな整備計画を作ることが決まり、重点計画の策定スケジュールにも影を落としている。

 実際、5月15日の社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)、交通政策審議会(同)の合同部会に提出された原案は「国際便を16万6000便から21万便に増やす」といった55項目の指標を並べたが、「三大都市圏の環状道路の整備率」など道路に関する15項目の指標は明示できなかった。

 こうした状況について、国交省幹部は「道路予算は公共事業費の主役。でも道路の決着を待っていると、いつ閣議決定できるのか読めない」と苦しい内情を明かす。別の幹部も「秋に道路中期計画が決まったとしても、1カ月間はパブリックコメントが必要になるので、年末ぎりぎりになるかもしれない」と先行きを危ぶんでいる。

 従来の全国総合開発計画に代わる存在である「国土形成計画」も道路問題の影響を受けている。同計画は人口減少やグローバル化などを踏まえた国土の将来像を示しており、同省は07年度中の閣議決定を想定していた。

 しかし、同計画が高規格幹線道路に関して、1987年の第4次全国総合開発計画の目標(1万4000キロ)に触れる形で、整備の必要性に言及している点が野党の批判にさらされた。また「東京湾口道路」などを念頭に、湾口部・海峡部の連絡プロジェクトを「調査・計画の推進など熟度に応じて進める」と定めたことに対しても実現性や必要性を問う議論が出たため、社会資本整備重点計画と同様に閣議決定のめどは立っていない。


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