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官庁速報


2008年10月 9日

6市で月給引き下げ
ボーナスは全市据え置き−時短10市で実施済み・政令市勧告

 17政令指定都市人事委員会の2008年給与勧告・報告が8日の仙台を最後に出そろった。月給については、札幌、さいたま、千葉、横浜、川崎、新潟、京都、堺、神戸、福岡の10市が据え置きとした一方、仙台、静岡、浜松、名古屋、大阪、広島の6市は引き下げを打ち出した。北九州が唯一、0.41%の引き上げ勧告としており、昨年と同様に都市ごとにばらつきが見られた。期末・勤勉手当(ボーナス)は全市とも民間の支給割合とおおむね均衡しているとして、改定勧告を見送った。
 今年の人事院勧告では、1日原則8時間とされている国家公務員の勤務時間を民間企業の実態に合わせ、7時間45分、週38時間45分に短縮することが盛り込まれた。ただ、今年の職員給与実態調査では17政令市のうち札幌、仙台、千葉、横浜、川崎、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の10市が既に15分の勤務時間短縮(時短)を実施していることが判明。このため、国と同様に時短を勧告したのは、さいたま、堺、北九州の3市にとどまった。医師不足を背景とした医師の初任給調整手当の改善も国に準拠する形で、さいたま、名古屋、京都、大阪の4市が求めた。

◇月給の改定方法にめりはり
 月給引き下げ勧告となった6市だが、官民逆格差が最も大きかったのは名古屋で0.61%(2673円)。次いで大阪0.60%(2563円)、広島0.58%(2563円)、静岡0.49%(2061円)、浜松0.36%(1377円)、仙台0.32%(1308円)の順で、比較的小幅にとどまった。

 このため、全職員の給料表を一律に引き下げる方法だけでなく、「初任給付近の若年層は据え置いた上で他都市より給与水準の高い中堅層などで平均以上、引き下げる」(静岡)、「給料表の号級が上がるほど、全体的に引き下げ幅を大きくする」(大阪)などと、めりはりを付けた例が見られた。

 浜松は給料本体ではなく、住居手当の改定で月給を引き下げる。月額2500円支給していた自宅所有者向けを廃止するとともに、借地・借間の同手当額の最高支給額を2000円引き下げ、2万5000円を上限とするよう勧告した。

 北九州は唯一、0.41%(1717円)の引き上げを打ち出したが、給与構造改革に伴って今年度から職員の地域手当を引き下げたことが影響しており、「市内の企業業績が他都市より良いわけではない」(北九州市人事委)。官民格差がわずかだったため、給料表を改定せず、扶養手当を引き上げる。子や父母らの1人当たりの手当額を6400円から7500円に、子に対する加算額を2000円から3000円にそれぞれ増額するよう求めた。

◇医師給与改善にも重点
 時短は、過去3年間の民間企業実態との比較の上で3市が勧告に踏み切った。総務省はこれまで政令市の時短について、「国や都道府県では実施しておらず不適正」と是正を求める通知を出していた。しかし、今年人事院が時短を勧告したことや、地方公務員法が職員の勤務条件について「国および他都市との権衡を失しない適当な配慮が必要」と規定していることで、政令市の間には「時短の流れは全国の自治体へ広まっていくのでは」との見方が強い。

 時短を実施すると、実質的な人件費増や消防など交代制職場で行政サービスに支障が出るとの指摘もある。これについて1993年に週休2日制とともに時短を導入した横浜では「これまで交代制勤務の職場でも支障がなく、人件費増にもつながっていない」と強調している。 

 一方、4市が勧告した医師を対象とする初任給調整手当改善の背景には公立病院の深刻な医師不足がある。医師不足の背景には、新しい臨床研修制度の実施などに伴う問題もあるが、各政令市は給与待遇を民間病院並みに改善して人材確保を図りたい考えだ。

 ただ、4市とも基準となる国の手当改善額が確定していないため、引き上げ幅については触れていない。医師の給与改善については、札幌、千葉、川崎、新潟、静岡、浜松、堺、神戸、北九州、福岡の10市も報告事項で言及した。

 このほか、浜松と京都は近年、官民を問わず課題となっている非正規職員の処遇などに報告事項で言及。「アルバイト職員の給与について、国や他都市の状況を調査・研究」(浜松)、「非正規職員が重要な役割を果たしていることを踏まえて業務や配置を検討する」(京都)としている。


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