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官庁速報


2008年12月 1日

「所得制限なし」が基本
市区町村の声に配慮も−定額給付金・総務省原案

 総務省は、総額2兆円の定額給付金について支給の内容や手続きの原案をまとめ、都道府県と政令市の担当者を集めた説明会で提示した。政府・与党が市区町村判断に委ねた所得制限は「給付の差異を設けないことが基本」と明記し、事実上、全国民への支給につながる内容とした。仕組みの簡素化を求めてきた市区町村の声にある程度配慮した形だが、なお検討が必要な課題も多く残っており、今後、市区町村からの意見も踏まえて詳細を詰める。

 原案では、支給の事務費について全額国が補助するとした。職員の時間外勤務手当ては補助対象だが、かつての地域振興券と同じく、本給や備品購入費は対象外となる。

 給付金の支給額は1人当たり1万2000円で、18歳以下の子供と65歳以上の高齢者には8000円を加算。年齢の基準日は、2009年1月1日か2月1日のどちらかで検討中とした。1月1日案には転居者が少ない時期というメリットがある。一方、2月1日案は、支給の混乱をできるだけ減らすため、現住所で住民登録をしていない人らに届け出を求める期間を設けるのが狙い。その場合には、DV被害者にも住民票の閲覧制限制度を周知した上で、新住所での登録を勧める。

 支給対象とする外国人の範囲は確定していないが、約215万人の外国人登録者のうち、特別永住者を含む永住外国人や、日本人の配偶者、定住者ら約141万人は対象とする方向。就労者や留学生ら約66万人は、今後詳細な検討が必要とされた。

 所得制限については、全国町村会が制限なしで統一することが望ましいと申し合わせている。ただ、原案では所得1800万円を下限に市区町村判断で制限を設ける余地は残しており、支給時に承諾を得た上で09年の所得を確認し、10年に返還を求める方法を示した。また、1800万円の水準にこだわらず、辞退を呼び掛けることも可能とした。

 支給方法は3方式を示したが、いずれもまず市区町村が世帯主に申請書を郵送する。その後は、(1)郵送で申請後、口座振り込み(2)窓口で申請後、口座振り込み(3)窓口で申請後、現金手渡し−に分かれる。

 市民が窓口に足を運ぶ回数を減らすため、申請書郵送後の手続きはこの順番で始めることを基本としており、振り込みを優先した格好。具体的には、手渡しによる支給を振り込みよりも遅くすることを想定し、方法ごとに受付開始日をずらして行うことも可能とした。特に、多額の現金を扱う危険性を考慮し、現金での手渡しは振り込みが困難な場合に限定することが望ましいとした。

 窓口申請の場合、口座番号の届け出や運転免許証などによる本人確認をその場で行うが、郵送申請の場合の確認方法は固まっていない。申請書とともに本人確認書類や預金通帳の写しを送ってもらう方式や、同意を得た上で水道料金などの振替口座を活用する仕組みが検討されている。

 ただ、寝たきりで金融機関に口座を持たない高齢者らは、郵送でも窓口でも受給手続きが困難。その場合には、代理手続きや直接訪問といった仕組みを検討する必要があるが、具体的な対応策は検討課題として残っている。また、支給の基準日以降、手続き開始日前に転居した人への対応も固まっていない。

 このほか、支給の開始日は市区町村の決定に委ねたが、年度内の開始を目指すとしている。給付の申請を受け付ける期間は、開始から3カ月以内と6カ月以内の両案を併記した。

 もっとも、給付金支給の裏付けとなる国の補正予算案の国会提出は来年の通常国会に先送りされることが固まり、今後の日程は厳しくなりそう。

 世帯主に申請書を郵送する前段階として、市区町村には加算対象者を抽出するための住民基本台帳システムのプログラム改修や、世帯ごとの支給額の一覧作成が求められる。しかし、作業に入れるのは、少なくとも国の補正予算成立後で、一斉に作業が始まれば技術者の確保も課題となる可能性がある。


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