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官庁速報


2008年2月 7日

教職調整額見直し導入の方向
教員給与に残業手当−勤務時間管理の課題も・文科省

 文部科学省は、公立学校の教員給与について、時間外勤務手当を導入する方向で検討に入った。現行では、「教員の勤務は自発的なもの」との理念から、教員給与に同手当は存在せず、代わりとして給与月額の4%の教職調整額が一律支給されている。同手当の導入は、勤務実態に応じた公平な給与体系実現が目的だが、勤務時間の管理など課題がある上、「教職」に対する考え方を大きく変える制度改革になり、議論を呼ぶことは必至だ。同省は今夏の2009年度予算概算要求までに結論をまとめる。

 同省は、教員の給与体系の抜本見直しを進めているが、残業とその手当の在り方が最大のポイントとなる。もともと同省は、現行の教職調整額は維持しつつ、教務などの負担に応じて配分額を増減する方向で検討していたが、法制的な問題があると指摘され、その方法は断念。時間外勤務手当に転換させる案を軸に検討することとした。

 教員給与に同手当が導入されれば、勤務時間の管理が必要。誰がどのような形で把握するのか、現場の負担増につながる懸念もあり、例えば試験の採点を自宅に持ち帰った場合にどうするかといった難しい面もある。

 しかし、国立・私立学校は既に同手当を採用しており、公立の教職員組合なども導入を求めている。また、勤務時間管理が的確に行われれば、一人の教師に過剰な負担が掛かっている状況や、無用な残業が明らかになるなどの効果も期待される。

 ただ、「時間外勤務」の設定に当たっては、実務面に加えて、「精神面」の議論で反対も出そうだ。もともと、時間外勤務は職務命令に基づいて行われるもので、自発的な勤務を旨とする教職にはなじまないという意見は根強い。また、「教師であれば、子どものことを常に考えるべきだ」という見方からは、勤務時間内外の線引きをすることに抵抗がある。

 さらに、給与月額の4%とされている現行の教職調整額だが、これを残業時間に換算すると月8時間分のみとなる。同省が06年度実施した調査によると、教職員の平均残業時間は月約34時間。時間外手当が導入された場合、同省としては現行の調整額分以上の原資を求める方針だ。時間外勤務として何時間まで国庫負担分が認められるか、財務省との攻防も予想される。


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