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官庁速報


2008年 6月 2日

直轄国道移管で調整本格化へ
6月中旬の対処方針に向け−政府

 政府の地方分権改革推進委員会は、5月28日に取りまとめた第1次勧告で直轄国道の都道府県移管を盛り込んだ。国土交通省は直轄国道約2万1500キロのうち15%程度の3500〜3600キロの整備・管理権限を移管できるとしているが、第1次勧告は「重要な港湾・空港を結ぶ区間」などの上積みを求めており、双方の見解に相違点が生じている。今後は政府の地方分権改革推進本部(本部長・福田康夫首相)が「対処方針」を決定する6月中旬に向け、本格的な調整に入る。

 直轄国道の要件は、これまでの地方分権論議を経て整理されてきた経緯がある。政府の地方分権推進委員会第5次勧告(1998年11月)や第2次地方分権推進計画(99年3月)を踏まえ、道路審議会(旧建設相の諮問機関)が99年7月に「直轄管理区間の指定基準」を答申。これに基づき国交省は2004年3月、道路法施行規則を改正し、直轄国道の指定基準を(1)高規格幹線道路(2)都道府県庁所在地などの「重要都市」を連絡する区間(3)重要な港湾・空港と(1)(2)を連絡する区間―と定めた。

 今回の勧告は、幅広い解釈が可能な(2)の要件の見直しを求めたのが特徴。その上で、地方移管の対象について同一都府県内に起終点がある区間のほか、バイパスの現道区間(旧道)、一部が都府県等管理の区間、都道府県庁所在地などの「重要都市」の要件を厳格に適用すると対象外となる区間―とした。

 これらについては、国交省も分権委に対し移管すると回答。その内訳は、▽同一都府県内に起終点がある区間は移管可能な3500〜3600キロの25%(約900キロ)▽バイパス整備後の旧道は同45%(約1600キロ)▽一部が都道府県等管理の区間は同15%(約500キロ)▽「重要都市」の要件厳格化で対象外となる区間は同15%(約500キロ)―と試算している。

 「重要都市」の要件をめぐっては、旧建設省の道路審議会が(1)地方中核都市(人口おおむね30万人以上の市)(2)地方の中核的な都市(人口おおむね10万人以上かつ昼間人口が夜間人口を上回る市)(3)二つ以上の市を含むおおむね10万人以上の半島地域などで、広域交通の拠点都市に到達困難な地域の中心となる市―などと整理し、国交省が現在も道路法施行規則の運用基準としている。しかし、今回の勧告はこのうち「人口30万人以上の市」を結ぶ区間だけを直轄国道とし、それ以外は移管するよう要求。「人口10万人以上かつ昼間人口が夜間人口を上回る市」から外れるような小規模都市を結ぶ区間を移管対象に想定している国交省とは見解が食い違う。また勧告は、(3)の重要な港湾・空港と高規格幹線道路などを結ぶ区間の移管も急きょ盛り込んだが、国交省はこれに反発しており、調整は難航が予想される。

 国交省は分権委が今秋予定する第2次勧告までに都道府県と個別路線の移管について協議を進めることになるが、「『分権』の名の下に国が責任を持つべき道路整備まで地方に移されることを危惧(きぐ)する」(和歌山県)といった慎重論が早くも出ており、地方側の足並みがそろうかどうかも微妙だ。第2次地方分権推進計画(99年3月)の策定後、今回と同様に直轄国道の地方移管論が盛り上がった時期はあるが、財源措置まで踏み込まなかったため、実際の移管にはつながらなかった経緯もある。


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