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官庁速報


2008年10月15日

住民サービス低下などの弊害も
「平成の大合併」を検証−全国町村会

 全国町村会の「道州制と町村に関する研究会」(座長・大森弥東大名誉教授)は、「平成の合併をめぐる実態と評価」と題した調査報告書をまとめた。合併市町村の首長や議会議員らからの意見聴取を基に「平成の大合併」を検証するのが狙いで、合併により住民サービスの低下や地方交付税の減額といった弊害を訴える意見が多かった。

 調査は昨年10月から今年3月にかけ、全国の合併9市町と非合併8町村を対象に実施。同研究会のメンバーが現地に直接出向き、首長や元首長、自治体職員、議会関係者らからヒアリングを行った。関係者の意見を「ありのまま伝える」(町村会)ため、報告書には匿名で記載している。

 それによると、合併による弊害について、「面積が広大となり、行政の目が行き届かなくなった」(幹部職員)などと、行政サービスの低下を指摘する意見が多かった。また、「(旧町村の)役場が(合併で)支所になると、職員も(新市町の)中心地域に転居するようになった」(幹部職員)というように、旧町村役場周辺地域の衰退につながった例もあった。

 合併によるプラスの効果については、「約40億円の人件費削減のめどが付いた」(首長)、「合併特例債を利用して学校建設を実現できた」(地方議員)など、歳出削減効果や社会資本整備の充実を挙げる意見が多かった。それでも、報告書は「財政削減効果が見られたが、住民サービスが低下した側面もある」と、歳出削減効果のみを評価することに疑問を呈している。

 一方、報告書は合併していない町村について、「施設整備の徹底的な見直しにより基金を積み増した」(首長)というように徹底した行財政改革の実施によって生き残りを図る町村が多いことを紹介。その上で、「合併を選択しなかった市町村に新たな自治の可能性が見えてきた」と評価している。

 また、報告書は「平成の大合併」について、「県が強制に近い形で進めたため、望むと望まないとにかかわらず合併に追い込まれた」(元首長)という声など、「地方交付税の削減や国と県の強力な指導によって合併を余儀なくされたという声が多く聞かれた」とし、「地域の視点を欠いた議論を再び繰り返してはならない」と、自治体の自主性を無視して合併を推進しないようクギを刺している。

 「平成の大合併」の結果、全国の町村数は1999年4月1日現在の2562から、今年10月6日現在の1003へと半分以下に減少している。町村会は調査報告書を全国の自治体のほか国会議員らに配布し、合併後の町村の現状を訴えていく方針だ。


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